MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-02-14 to 1 day

「豊饒の海」総書評

三島由紀夫の遺作にして唯一の大河長編4部作心理描写・語彙・死生観・社会糾弾・禁忌への言及は過去最大級ライバルの太宰治「人間失格」同様に”自殺の決意”が随所に散見主人公の青年〜死の描写は”老いへの嫌悪”が顕著享年45才は一般に”若い”の限界年齢三島は…

「豊饒の海 (四) 天人五衰」

三島由紀夫著老境の本多は左腹部に黒子のある高IQ少年の透を養子に迎える分身の様な性格の透は邪智を駆使し強姦や本多の遺産を目当てに社会的抹殺を目論むが…?透は転生者か否か?病み衰え老い廃れ怯懦する者達の醜い戦い涅槃に向かう六界天人の死兆“豊饒の…

「豊饒の海 (三) 暁の寺」

三島由紀夫著勲の死から数十年肉体・精神の老化が著しい本多はインドとタイの宗教遺跡を巡遊し美醜の本質を思索旅中に学習院留学時代の同期タイ王家と再会左腹部に黒子を持ち”日本人”を主張する狂王女”月光姫”と清顕と勲の特徴を持つ姫の命運は…?暁に燃える…

「豊饒の海 (二) 奔馬」

三島由紀夫著死んだ清顕と同じ左腹部の3つの黒子を持つ級友の息子予言通りに滝で再会する本多勲は清顕の生まれ変わりなのか?激情の恋は激昂さる愛国心へ革命団体”神風連”にて未成年を率い打倒財閥クーデターを画策する勲の運命は…?淡雪は溶け豊饒な水平線…

「豊饒の海 (一) 春の雪」

三島由紀夫著「浜松中納言物語」挿話”豊饒の海”大正時代の侯爵&伯爵の華族社会の実事件がモデル学習院高等科の名家跡取り清顕と秀才の本多“現人神”皇族の娘を孕む”禁断の恋”の果て絶命する清顕彼は本多に転生を予感する遺言を残すが…?苦海浄土に溶ける青春…