MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-04-29 to 1 day

「芸術論20講」

アラン著 フランス芸術家抽象的で難解肉体表現を伴う身体的芸術=ダンス・音楽・詩自然表現を伴う造形的芸術=演劇・衣装・建築自然と肉体を調和させた共同作業的芸術=建築・彫刻・絵画・デッサン芸術とは自己の内面を外面に憑依させ取繕う事その意味で俳優…

「錬金術」

西洋東洋の2部構成で日本も少し解説 <西洋錬金術> メソポタミア実用科学(ミイラ・農業・占星術・ソーダ法)→ギリシア自然哲学(万物の根源模索)→アレクサンドリア科学→イスラム科学(蒸留・医学)→ルネサンス→近代実証科学 <中国錬丹術> 呪術→道教→仙術→薬学(火…

「マウントドレイゴ卿/パーティの前に」

サマセット=モーム著 イギリス作家 “ミステリ”は推理小説のみ表すのではない 人間の狂気や不可解な行動の謎を解き明かすのもまたミステリと云える 掲載の短編6編は7つの大罪に塗れたヴィクトリア朝社交界を風刺 劇なのでテンポ良く表現も鋭い 一味違うミス…

「語るボルヘス」

ホルヘ=ルイス=ボルヘス著 アルゼンチン作家 自称“書淫”の書物中毒者ボルヘス アルゼンチンの大学での講義を文庫化 多彩なジャンルを手がけ且ついずれも神秘的な雰囲気を保つ作風 ポーの例の紹介では二項対立用法を引き合いに小説がかくも論理的に書かれる…

「中国皇帝伝」

秦から数えて2100年のキングダムを築いた中国皇帝制度 人間臭くも神々しい歴代天子と共に中国史の扉を開いてみよう! 始皇帝嬴政 高祖劉邦 武帝劉徹 魏武帝曹操 文帝楊堅 太宗李世民 武則天武照 玄宗李隆基 徽宗趙佶 世祖フビライ 万暦帝翊鈞 乾隆帝愛新覚羅…

「行動経済学の逆襲 下」

データと実験を重ね人間の消費行動の”不合理すぎる合理的思考”のベールを徐々に明らかにしていく行動経済学創始者達 遂に辿り着いた”ナッジ理論” 心理に働きかけた標識で誘導する事でバイアスを避け消費行動をも左右する 英国官房長官や世界に認められ遂にノ…

「行動経済学の逆襲 上」

リチャード=セイラー著 ノーベル経済学賞 “完全合理主義者”を主人公に成立した数理モデルが軸の理論経済学 ムダな買い物は一切しない 需要供給の判断は完全反比例 だが果たしてそんな人間ばかりだろうか? 経済学+心理学=行動経済学 大物理論経済学者達へ…

「イスラームの歴史」

イスラームの宗教が各時代各王朝でどう受け止められ発展してきたかを西洋世界と対比させて著述 登場人物が多く時代別の派閥・宮廷争いの論理と背景の記述は細かいが分かりやすい政治史より宗教史に近いので上級者向け 巻末のアラビア用語・人物辞典・王朝時…

「知への賛歌」

ソル=ファナ著 副王領期メキシコ修道女 現在も高位宗教職が男性に限定されるキリスト教世界 そんな時代に世界帝国スペイン領メキシコから女性の学問・宗教的権利を訴える尼さん詩人が現れた 美しき教養人ファナは壮大な詩と鋭い説法で当時世界最高峰の詩人…

「十二夜」

ウィリアム=シェイクスピア著 ヴィクトリア朝イギリス劇作家 シェイク(振う)スピア(槍)の名の通り騎士道精神と近代人文主義思想が混在する作風が多い大劇作家 堅苦しい文体かと思いきや劇なのでテンポ良くキャラも個性豊か 男装した美青年に扮するセザーリ…