MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「青ひげの卵」

マーガレット=アトウッド著
カナダ作家
短編5集
表題作が秀逸
“ルゥルゥ”
ルゥルゥの呼び声とは?
“青ひげの卵”
女性の見る男性社会と群がる女性への皮肉
“緋色のトキ”
伝説の朱鷺を探すコンラッド的冒険
“罪食い人”
罪悪請負人の不思議な体験
サンライズ
曙時の儚いゴシックホラー

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「涙の通り路」

アブドゥラマン=アリ=ワベリ著
ジブチ作家
“涙の通り街路”ことバブエルマンデブ海峡
巨大企業勤めで母国のウラン鉱脈調査のため帰国する兄
自分を捨てた兄への復讐で過激派として活動する収監中の弟
2人の独白が交代進行しベンヤミンの思想で結合する先は…?
大国が小国を喰らう実情

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「若き詩人への手紙 若き女性への手紙」

ライナー=マリア=リルケ
オーストリア詩人
リルケと若者の往復書簡
温かい眼差しと優しい言葉だけでなく真摯な想いが溢れた文章
“あなたはあなたの孤独を愛してください”
SNS時代で絶滅寸前だがやはり手紙はいい
言葉が深く美しく一流詩人たる面目躍如の1冊

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「あしながおじさん」

ジーン=ウェブスター著
アメリカ作家
優秀ながら不遇にも大学入学を諦めかけていた孤児ジュディ
しかし見ず知らずの紳士”あしながおじさん”の援助で大学へ
文通を重ねながら学生生活を報告する彼女
気になる”あしながおじさん”の正体とは…?
邂逅する2人と結末にホッコリする話

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「透明性」

マルク=デュガン著
セネガル系フランス作家
2068年
環境破壊で荒廃した世界
Googleを筆頭に巨大IT企業が独占支配
だが市民は裕福で不満を持たない
そのGoogleをも買収し株式市場操作と不老不死を叶えるエンドレス社
SF的には粗い設定だが地球の未来を分析し人間の取る行動を冷静に分析する

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