MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-09-08 to 1 day

「涙の通り路」

アブドゥラマン=アリ=ワベリ著ジブチ作家“涙の通り街路”ことバブエルマンデブ海峡巨大企業勤めで母国のウラン鉱脈調査のため帰国する兄自分を捨てた兄への復讐で過激派として活動する収監中の弟2人の独白が交代進行しベンヤミンの思想で結合する先は…?大…

「若き詩人への手紙 若き女性への手紙」

ライナー=マリア=リルケ著オーストリア詩人リルケと若者の往復書簡温かい眼差しと優しい言葉だけでなく真摯な想いが溢れた文章“あなたはあなたの孤独を愛してください”SNS時代で絶滅寸前だがやはり手紙はいい言葉が深く美しく一流詩人たる面目躍如の1冊

「あしながおじさん」

ジーン=ウェブスター著アメリカ作家優秀ながら不遇にも大学入学を諦めかけていた孤児ジュディしかし見ず知らずの紳士”あしながおじさん”の援助で大学へ文通を重ねながら学生生活を報告する彼女気になる”あしながおじさん”の正体とは…?邂逅する2人と結末に…

「透明性」

マルク=デュガン著セネガル系フランス作家2068年環境破壊で荒廃した世界Googleを筆頭に巨大IT企業が独占支配だが市民は裕福で不満を持たないそのGoogleをも買収し株式市場操作と不老不死を叶えるエンドレス社SF的には粗い設定だが地球の未来を分析し人間の…

「プラハの墓地」

ウンベルト=エーコ著イタリア作家史上最大の偽造書「シオン賢者の議定書」誕生秘話主人公以外は史実19世紀後半ヨーロッパ史に暗躍したユダヤ人を悪役に仕上げた偽造家&神父の章が交代進行フリーメイソンも登場する犯罪・陰謀・スパイ小説フェイクやヘイト蔓…

「英雄たちの夢」

アドルフォ=ビオイ=カサーレス著アルゼンチン作家3年前のカーニヴァルが忘れられず再現を試みる博士と御者と自動車工競馬で一発逆転を狙う人情絆された若者と博士の掛け合いが面白いボルヘス絶賛のギャッツビーっぽい華やかさと幻想的ながらあくまでも現実…

「小さきものたちのオーケストラ」

チゴズィエ=オビオマ著ナイジェリア作家国際ブッカー賞最終候補イボ神話の転生憑神”チ”視点で進む青年の半生首長ご令嬢と養鶏家の身分違いの恋学歴を得る為キプロス大学入学を目指すが友人の詐欺で家財と彼女を失い冤罪で囚獄復讐の機会を得るが結末や如何…

「気まぐれニンフ」

ギジェルモ=カブレラ=インファンテ著キューバ作家「ロリータ」+「フェネガンズウェイク」÷ 2の言語実験的小説少女は各国語で韻を踏む洒落た壮年男性と旅をするハバナの街を縦横無尽息苦しい社会主義から身を潜めた夢“気まぐれニンフ”に連れられた淡く美し…