MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-04-10 to 1 day

「イスラム幻想世界」

イスラムの怪物・英雄・魔術を紹介する本 (今度またイスラム世界に旅行するので予習読書) イスラム成立時のカリフやムハンマド一家 「千一夜物語」に登場する逸話やジン(精霊)にイフリート等の怪物 バイバルスやサラディン等の英雄 アラビア魔術と言われたエ…

「ダンディならびにその同義語に関するアンドレアス・フォン・バルテッサーの意見」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 リヒャルト=フォン=シャオカル著 ここで私”世紀末ダンディ”ことアンドレアス・フォン・バルテッサーの意見を述べさせて頂きます! ……………………………… まあ全て嘘ですけどね

「フーコーの振り子 下」

19世紀パリ市内パンテオンで行われた”フーコーの振り子実験” サンジェルマン伯爵本人登場? カバラ カタコンベ エクトプラズム クンダリニー蛇 賢者の石 黄道十二宮 セフィロト カニバリズム 数多の十字軍 暗号解読仲間失踪を機に”計画”が始まり舞台はブラジ…

「フーコーの振り子 上」

ウンベルト=エーコ著 イタリア作家・記号論学者 2000年王国を夢見て歴史に消えたテンプル騎士団 その野望を現代の出版者3名が知的暗号解読に挑む 薔薇十字軍 世界各国民族部族神話 オカルト(カリオストロ) 錬金術(フラメル) 秘密結社(フリーメイソン) 知の…

「シャイブスの町の第二木曜日」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 フィッツ=フォン=ヘルツマノフスキー=オルランド著 チェコ人父とイタリア人父を持つ画家・建築家・作家 存命中無名で死後評価 “木曜日の週2日制”提唱 地質学者が反対し世界の民族と異端者が集合 ある意味ミニチュア版「百…

「地獄のジュール・ヴェルヌ/天国のジュール・ヴェルヌ」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 ルートヴィヒ=へヴェジー著 ハンガリー出身でクリムトら画家のウィーン分離派を支援した ダンテ「神曲」の世界をお馴染みヴェルヌ小説風冒険譚で3003次元など突飛な世界を交えて地獄から天国まで旅をしていく

「めくるめく世界」

レイナルド=アレナス著 キューバ作家 投獄・戦争・迫害・社交・放浪・布教・夢想… 新大陸と欧州を往来する”メキシコのドン・キホーテ” メキシコ→スペイン→フランス→イタリア→ポルトガル→キューバ→フロリダ 亡命作家らしい人称切替と虚実混交の独特な修道士…

「千の輝く太陽」

カレード=ホッセイニ著 アメリカ亡命タジク系アフガニスタン作家・医者 歴代超大国に蹂躙され続けたゆえ部族内結束が強固で因習と偏見が残るアフガニスタン 共産主義期の男女平等がイスラム原理主義に奪われていく 聡明な2人の女性が踠き抗い自由と平和を希…

「絶望を希望に変える経済学」

“経済学は硬直的だ” インド系&女性+史上最年少ノーベル経済学賞受賞の夫婦タッグが贈る地道で愚直なデータ主義経済学 経済学者が盲信する自由主義経済 市民が無根拠に八当たる移民と国際貿易 流動性選好・貧困・経済成長・環境問題・税制… 希望を持つ為にま…

「バッソンピエール公爵譚」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 ヒューゴー=フォン=ホフマンスタール著 ゲーテ「ドイツ移民談話ー”フランス公爵バッソンピエール”」が下敷 後の元帥で後代ベルギー外交官も輩出する名家公爵 性に溺れペスト蔓延期パリを逃れブロワ城に逃れた先で体験する怪…

「言語が違えば世界も違って見えるわけ」

男女中性詞を持つゲルマン語国家は帰納法思考? ラテン語国家は演繹法的哲学思考? 単語に東西南北が明記されるグーグ・イミディル語? 言語で色の認識が変わる? 「オデュッセイア」に登場する“葡萄酒色の海”? 認知言語学研究の最先端を多言語構造比較で紹…

「小品6つ」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 ペーター=アルテンバーグ著 6ショートショート “公園” “11と9つ” “対話” “劇場” “ミッツィー” “ネズミ” 当時の男女価値観差・貧富の格差問題・子供の扱いと文化・社交事情が浮き彫りになるリアリズム作品 音楽の都らしく反復…

「ジャネット」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 ヘルマン=バール著 美男子パウルと彼に恋するfemme fataleのジャネット パリのような華麗さとウィーンのような耽美さが交わる官能的で歪んだ激しい恋 軽蔑・憤怒・邪淫・倦怠・悦楽・篭絡・鬱屈・冷笑… みなウィーン世紀末に…

「レコデンタの日記」

一日一編 ウィーン世紀末文学選 アーサー=シュニッツラー著 美人妻を巡り決闘した大尉と男 その風変わりな結末が妻の日記を介して語られる 引用ではない入れ子構造短編&内的独白小説(フロイト輩出都市らしい)の先駆け (多分)世界初のオーストリア&オースト…

「海よ 海 下」

俳優であるがゆえ結婚を諦めそれでも想い続けた恋人との再会 だがそれは”息子かもしれない少年”との邂逅でもあった… シェイクスピア「テンペスト」や聖書をモチーフに流麗な”意識の流れ”が揺れる乳房の様に波となり打ち寄せる 少年の親は? 恋の行方は? ド…

「海よ 海 上」

アイリス=マードック著 アイルランド出身イギリス作家 ブッカー賞受賞作 老境に差し掛かり舞台俳優を降りて隠居生活を始めた男 海で毎日泳ぎながら静かな余生を楽しむはずだった しかし40年前の恋人との邂逅が漣の音が打ち寄せる白波が在りし日の思い出と心…

「サヴィルの青春」

デヴィッド=ストーリー著 イギリス作家 ブッカー賞受賞作 “炭鉱夫の父が無職になった” 産業革命成功最大要因の石炭 炭鉱労働者街の苦境を少年視点の学校生活と世界大戦を軸に描く 後に歴代最低支持率に悩むサッチャーはマルビナス紛争に乗じ炭鉱労組民営化…