MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-03-14 to 1 day

「終身刑の女」

レイチェル=クシュナー著 アメリカ作家 ブッカー賞最終候補・メディシス賞受賞作 正当防衛ながらストーカー殺害容疑で終身刑となる女 また様々な不幸ゆえの受刑者 貧困に生まれ売春で食い親族不在で教養不足ゆえ弁護士選出すら不公平 金と地位の支配する露…

「青い花束」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 オクタビオ=パス著 ノーベル賞メキシコ詩人・批評家・ジャーナリスト 先住民居住地に碧眼の白人が泊まり”碧眼を集めた青い花束”を恋人に送ろうとする男に遭遇するホラー 風景への擬人法と音とリズムの多用から鋭い観察…

「地図と領土」

ミシェル=ウェルベック著 フランス作家 ゴンクール賞受賞作 “現代人はなぜ幸福になれないのか?” 同じ種の孤独に共感し問題児作家ウェルベックに肖像画を贈ることにした世界的芸術家 美女・金・地位・名声を得た彼は人生を回顧し芸術論を自問する 一方ウェ…

「世界イディッシュ短編選」総書評

一日一編 世界イディッシュ短篇選 東欧ユダヤ共通語イディッシュ ホロコーストで世界各地へ亡命同化したユダヤ人 現在進行形で滅びゆく言語で創作された短編集 現在のガザ侵攻と真逆の立場に遭ったユダヤ人 その受難は糧になるのか? 今こそ読みたいと思い紐…