MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-03-07 to 1 day

「ヴァーノン・ゴッド・リトルー死をめぐる21世紀の喜劇」

DBC(Dirty But Clean)ピエール著 オーストラリア作家・漫画家・映画監督 ブッカー賞受賞作 米高校少年銃乱射事件がモデル 少年犯が自殺し寡黙ゆえ冤罪で死刑判決 逃亡→報道→逮捕→裁判→処刑 現代人の偽善と傲慢の仮面を剥ぐドス黒い風刺作

「塀のそばで」

デル=ニステル著 ユダヤ系ロシア領ウクライナ作家 一日一編 世界イディッシュ短篇選 独ソ戦でタシケントに疎開し反ファシズムの廉で逮捕され獄死 乗馬サーカスの大看板を務める美人娘を持つ父 寄生虫のように支配人に付き纏い掟と病に苦しみながら生きてい…

「ムーンタイガー」

ペネロピ=ライヴリー著 エジプト出身イギリス作家 ブッカー賞受賞作 “私は世界の歴史を書いているの…” 魅力的な冒頭文は戦争の世紀を生きた美女の存在証明 兄と競う幼少期 愛人と流産と出産 シングルマザー奮闘 美大生の弟子 戦争体験と通信員 北アフリカ将…

「逃亡者」

ドヴィド=ベルゲルソン著 ユダヤ系ロシア領ウクライナ作家 一日一編 世界イディッシュ短篇選 反ロシア的テロリスト文学を物しスターリンのテロル(大粛清)の犠牲となった作家 迫害に堪えられずキエフ出身の醜い逃亡者 知人がおらずテロリストになりたいと考…

「ギターの男」

ズスマン=セガローヴィチ著 アメリカ亡命ユダヤ系ロシア領ポーランド作家 一日一編 世界イディッシュ短篇選 ワルシャワ市街ゲットー 奇妙な隣人達の棲まうアパートの異彩を放つ”ギターの男” いつの世も美しいものは反感を買う ギターの音色に嫉妬する隣人と…