MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-01-22 to 1 day

「北京で発生した反革命暴乱の真相」

一日一編 中国怪談集 中国共産党北京市委員会宣伝部”人民日報”著 革命未遂として学生を戦車で轢殺した天安門事件 一方CIAとソロスの煽動工作とも噂される同事件の”中国共産党側の主張”が本短編でありある意味ホラー以上にホラー なお当時の責任者の鄧小平は…

「五人の娘と一本の縄」

一日一編 中国怪談集 葉蔚林著 中華人民共和国作家・詩人・人民解放軍員 莫言「豊乳肥臀」のように破天荒かつ痛快な地方女性の因習をテーマにした中国マジックリアリズム 生き地獄の村の女性5人は痛みと傷を来世に残さぬよう死後”桃源郷”花園への旅立ちを願…

「鷲か太陽か?」

オクタビオ=パス著 ノーベル賞メキシコ詩人・作家・外交官・ジャーナリスト 11短編・21詩集 メキシコ国旗の象徴”鷲” アステカ帝国の象徴”太陽” シュールレアリスムとマジックリアリズムの時代の空隙を埋める擬人的な温かさを持つ初期散文集 <短編>動く砂 <…

「プトレマイオス王国と東地中海世界」

ヘレニズム王権 × ディオニシズム政策 × アレクサンドロス信仰 プトレマイオス朝エジプト外交政策 エジプトからギリシアを支配するため自ら文化をギリシア化 一方で古代エジプト王制の復古 過程を検証すると実際ロゼッタストーンには3ヵ国の言語が刻まれてい…

「死人たちの物語」

一日一編 中国怪談集 黄海著 台湾SF作家・記者・編集者 心臓を抉られ機会人間と化した大量の人間たち そしてそのクローンゾンビ予備軍 世界の改造を目指して生ける死人たちは次の復活に備え待ち続ける 絶対的な権力を梃子に人民を支配する中国を皮肉り台湾を…

「“鉄魚”の鰓」

一日一編 中国怪談集 許地山著 台湾出身中国哲学・文学・宗教学者 中国→アメリカ→イギリス→インドで研究後に五四運動参加→香港(燕京)大学教授→抗日文化運動参加 潜水艦開発と故事成語”鮑魚の交わり”を彷彿とさせる短編 科学にも詳しく魯迅と同様に近代西欧化…

「阿Q正伝」

一日一編 中国怪談集 魯迅著 中華民国作家 貧乏な白痴小僧”阿Q”はどんな会話も冷笑と罵倒で論破した気になり快楽を得る“精神勝利法”を編み出した! 秀才(科挙合格者名士)を嗤い革命を咲い自分自身をも笑う 現実逃避した挙句に街を引き回されて処刑を晒される…