MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-09-21 to 1 day

「笑い男」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 ジェローム=デビッド=サリンジャー著 「ナイン・ストーリーズ」収録で有名 課外活動に通う9歳の少年は送迎時に聞く”笑い男”の話が好きだったが…? 単なる思い出に寓話を挿入し虚実混交の緊迫したリーダビリティでオープ…

「抱擁II」

縦糸は単純なメロドラマ 緯糸は博覧強記と多彩なメタファーを駆使した歴史ミステリ 時空を超えた愛のタペストリー 絢爛のヴィクトリア朝をこれ程に活写した作品は他にない 子孫訪問と文献整理が進む中で詩人の往復書簡に隠れた秘密と驚きの結末が待つ… 個人…

「抱擁I」

アントニオ=スーザン=バイアット著 イギリス作家 ブッカー賞受賞作 配偶者と浮気と同性愛と… 100年を隔てた2組の男女”禁断の四角関係” ヴィクトリア朝詩人男女のラブレター発見に沸く現代の男女2人の研究者 民話・詩・小説・神話・聖杯・伝説・アーサー王……

「グアテマラ伝説集」

ミゲル=アンヘル=アストゥリアス著 ノーベル賞グアテマラ作家 6短編集 土着の古代民話を再構築 超現実主義ブームでポール・ヴァレリーが絶賛し世界的作家となる出世作 “火山の伝説” “長角獣の伝説” “刺青女の伝説” “大帽子男の伝説” “花咲く地の財宝の伝説”…

「大統領閣下」

ミゲル=アンヘル=アストゥリアス著 ノーベル賞グアテマラ作家 政敵抹殺を目論む大統領と翻弄される部下 拷問・密告・投獄・暗殺・貧困・独裁・逮捕… 母国大統領カブレーラ批判+パリで学んだ超現実主義 多声性と夢幻的世界や文物が喋るなど後のマジックリア…

「木・岩・雲」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 カーソン=マッカラーズ著 カフェを訪れた12歳の少年 彼に独学で発見した世界最高の科学”世の万物を愛する方法”を説く流浪の初老男性 心の壊れた人間に救いを差し伸べる優しい言葉 一方で現実の残酷さを伝える無慈悲な描写…

「スコットランドの黒い王様」

ジャイルズ=フォーデン著 イギリス作家 自称”最後のスコットランド王” 2mの巨漢と人喰の噂もある元ボクシング王者のカリスマ独裁者 ウガンダ大統領イディ・アミン・ダダ 彼の侍医を務める若きスコットランド人が抗えぬ魅力と支配に引き摺り込まれ数奇な運命…

「動物園で」

一日一編 20世紀アメリカ文学短編選 ジーン=スタフォード著 里親制度で孤児として動物園の傍の癖の強いおばさん家庭に引き取られた姉妹 犬に猿に鸚鵡に熊に騒がしい動物と一家を疎む近所からの冷たい視線 成長して漸く旅立つ時に幸か不幸かの匙加減に複雑な…