MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-05-27 to 1 day

「過去を売る男」

ジョゼ=エドゥアルド=アグアルーザ著アンゴラ作家内戦終結新興ブルジョワ台頭が著しいアンゴラだが成り上がり者ゆえ”由緒正しい過去”が足りないその過去を再構築する仕事を営む男そこに大金を積む奇妙な依頼人が現れ…?男の家に棲む夢と不条理を交えた饒舌…

「星に仄めかされて」

多和田葉子著ドイツ・日本作家3部作2章祖国(=日本)滅亡でコペンハーゲンの病院に集う”言語受難者たち”6人の男女北欧言語を基にした人工言語パンスカが紡ぐ現代文明批判「オン・ザ・ロード」的ロードノベルに深い寓意を孕む軽妙洒脱な会話亡国への船出と共に…

「象の旅」

ジョゼ=サラマーゴ著ノーベル賞ポルトガル作家再読寝て食うだけの珍獣”象のソロモン”をハプスブルグ家への婚儀に決めたポルトガル国王象使いのインド人スブッロと共にリスボン〜ウィーン間の珍紀行諧謔と慈愛に満ちた現代からの著者の声を挟む旅先地元人と…

「チェーホフ傑作選」

アントン=チェーホフ著ロシア作家6中短編集日常的な物語ながら会話と心理描写だけで伏線回収する”チェーホフの銃”の本領発揮喜劇を皮肉と諧謔の絶妙なリズムとバランスで締める様は寧ろ演劇に近い“ヴェーロチカ”“カシタンカ”“退屈な話”“グーセフ”“流刑地に…

「魔法の庭」

イタロ=カルヴィーノ著イタリア作家11短編集海と子供と戦争と狩り時代に揉まれた異端者を描く“蟹だらけの船”“魔法の庭”“不実の村”“小道の恐怖”“動物たちの森”“だれも知らなかった”“大きな魚 小さな魚”“うまくやれよ”“猫と警官”“菓子泥棒”“楽しみはつづかな…