MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-04-26 to 1 day

「歴史学の始まり」

トルコ出身でアテネに旅した異邦人ヘロドトス「歴史」スパルタに生まれ生きたトゥキデイデス「戦史」古代ギリシアでも突出した歴史家2人を比較分析前者は当代ギリシア以外の国と時代の史実と伝説を共に含み何ならそっちの方が面白い後者は徹底的にペロポネソ…

「香料諸島綺談」

ユースフ=ビルヤトラ=マングンウィジャヤ著インドネシア作家4連作短編集“香辛料諸島”モルッカ諸島の神話・民話・歴史をアンボイナ事件と同時進行して描く”知られざるインドネシア諸島史”ローカルな自然・魚・香辛料樹木・動物が欧米の金儲けプランテーショ…

「ディンマスの子供たち」

ウィリアム=トレヴァー著アイルランド作家長閑で牧歌的な海街ディンマス復活祭に伴い活気づく平穏な光景をトリックスター的少年が掻き乱す風景も粗筋も楽しめる登場人物が殆ど子供で使用語彙も限定されるため本来は連作短編や章振り必須だが著者の神業で1大…

「田園交響楽」

アンドレ=ジイド著ノーベル賞フランス作家カトリック教会から禁書認定された本牧師は白痴で盲目の美少女を拾い情緒と知性を教え込む惹かれ合う牧師と彼女片思いの牧師の息子幸せな田園の静かな残響も今は昔“恋は盲目”から”恋は眩暈”へ手術で視力を回復する…