MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-04-12 to 1 day

「ジブラルタルの征服」

ラシード=ブージェドラ著アルジェリア作家“ターリクの山(ジャベル・アル・ターリク)=ジブラルタル”征服者と同じ名の学生ターリクアルジェリア独立(現実と未来)×ジブラルタル征服(歴史と絵画)が交代進行ジブラルタルの地を”支配-被支配”と”多言語的公用語変…

「歩くこと または飼いならされずに詩的な人生を生きる術」

トマス=エスペダル著ノルウェー作家靴に穴が開くまでヨーロッパ横断エッセイ?小説?散文?作家論?音楽講義?哲学?どれでもありどれでもない思索で試作で施策な散歩記機微に富む日常を切り取ったスランプ作家の”いい旅ゆめ気分”

「青白い炎」

ウラジーミル=ナボコフ著ロシア作家架空の詩人の研究者の架空の前書き=20P架空の詩=120P(半分は英文)架空の註釈+架空の註釈内小説(架空の詩人研究者)=400P更に註釈内小説の舞台は架空王国の架空の人物架空×8のメタフィクション架空過ぎて理解も難解だが手法…

「ギリシア・ローマの文学」

アジアの神話と伝説に刺激され口承文学が生まれたギリシア以来ヨーロッパでは古代世界で劇場を有し多くの悲喜劇が誕生深く狭いギリシア:自然科学(ポリス間での牽制)+神話&文芸(叙事詩&オリンポス12神)浅く広いローマ:実学&自己啓発的(パン)+英雄伝説&博物学…

ハン=ガン全7冊読破記念総書評

韓国は小説より先に”詩の国”詩才に富む言葉と物語失った者に寄り添う眼差し何気ない日常の素敵な発見静謐ながら激情を伴う心情意表を付く展開韓国と日本の社会は効率主義で弱者に厳しいだが韓国には“喪失”から“恢復”のチャンスがある韓江はそれを作品で体現…

「ギリシア語の時間」

ハン=ガン著韓国作家・詩人“言葉の発声を失った女”が古ギリシア語講師の男と出会い”2000年前に失われた言語”を学び言葉を取り戻すまで外国語を日々習得する女視力を日々失う男言葉は人を恢復させる思想と感情と言語と夢と…語学以外をも受け継いでいく”ギリ…

「5月 その他の短編」

アリ=スミス著スコットランド作家12短編集全編とも妙味ある良作長編の心情を省いたミクロ→マクロの俯瞰が心地よい“四季4部作”でも感じたが季節とその人々の描写が上手い長編を読む限りコラージュ作風で短編も上手いだろうと予想していたが寧ろ短編の方が本…

「少年が来る」

ハン=ガン著韓国作家・詩人“韓国の天安門事件”こと光州事件全斗煥大統領に学生が反旗を翻すも粛清しかし反動で軍事政権は崩壊し民主化に成功犠牲となる少年少女とその家族と友人の声を記録韓国大統領はこれ以降どんな些細な不正でも司法が見逃さず国民目線…

「唐」

中国史上最も国際的な唐胡桃・胡麻・胡椒=“胡(ソグド系)”唐辛子・唐土・唐揚げ=“漢”宗教=儒・回・摩尼・仏・道・基の寺院九品の門閥政治と鮮卑の騎馬民族が融合藩鎮と宦官の台頭を律令政治と羈縻政策で乗り切る租庸調兵制の施行唐初に偏りがちな歴代皇帝を唐…