MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-01-31 to 1 day

「ラムレの証言」

#一日一編14作目ガッサーン=カナファーニー著パレスティナ作家ユダヤ人がパレスティナに国家建設しようとしている子供の前で子供と母が撃ち殺される叔父が復讐に自爆テロをする著者も爆殺された今尚この光景は続いているイスラエルもパレスティナも共に被害…

「アムラス」

トーマス=ベルンハルト著オーストリア作家2中編ノスタルジックな田舎と自然を観光の売りにする先進国を呪詛する独白という点が2作共通“アムラス”ナチに加担した過去を忘れたかの様な故郷にアムラスの地に憤る“行く”過ぎ去って行く町や人々の面影をランダム…

「引き出しに夕方をしまっておいた」

ハン=ガン著韓国作家・詩人暮れなずむ夕方に時と人生の黄昏を感じさせる言葉を引き出してみる自由不定形詩で描く精緻な日常生活台所の野菜をを捌きながら遠い過去を見つめる冬の窓越しを見つめながら星空と宇宙に心寄せる抒情詩は戻ってくる心を回復させる

「サンフランシスコYMCA讃歌」

#一日一編13作目リチャード=ブローティガン著アメリカ作家・詩人詩に囲まれて生活したい主人公彼は水場に詩集を置く風呂にはシェイクスピア台所にはマヤコフスキートイレには無名詩すると水場が”声”を発したではないか…!独特な構成とユーモア豊かな詩的短編

「レシタティフー叙唱」

#一日一編12作目トニ=モリスン著ノーベル賞アメリカ作家著者唯一の短編久々に偶然再会した孤児院出おばさんの只の井戸端会議そこに得意の黒人ネタを用いて孤児・人種・格差・虐めをさりげなく且つ広げ過ぎずに挿入最後まで作中登場人物の人種が明かされない…

「処刑台」

チンギス=アイトマートフ著キルギス作家「狼王ロボ」×キリスト磔刑ソ連支配下イシク=クリ高原大麻や綿花に水源を引き故郷は荒廃麻薬組織と治安も悪化高原の狼夫婦や原住民イエスの受難と磔刑破門神学生3話が交代進行無宗教主義のスターリン政策を揶揄牧歌…