MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-01-28 to 1 day

「オデッセイ」

デレク=ウォルコット著ノーベル賞セントルシア劇作家・詩人現地スラングや文化を交えたカリブ版「オデュッセウス」トロイア戦争後にキュプロクスの目を潰し父ポセイドンの怒りを買い難破したイタケ王オデュッセウスアテナの助力で妻ペネロペと子の王位に群…

「変身のためのオピウム/球形時間」

多和田葉子著日本・ドイツ作家“変身のためのオピウム”オウィディウス「変身譜」ギリシア22女神の陶酔と恍惚オピウム(ヘロイン)が幻惑する寓話“球形時間”イザベラ・バードと邂逅する高校生の妄想と現実の狭間休憩の互換語”球形時間”言語・人称操作の実験小説

「カヘルの王」

チエルノ=モネネムボ著ギニア作家19世紀末実業家を呼び込み平和的征服でギニア王を夢見るフランス人探検家ポルトガル王から子爵を得てイギリス・フランス政府から妨害を受ける奴隷貿易の惨憺や帝国主義の暴力に立ち向かう土着民と白人視点で文明化を目指し…

「南北朝時代」

中国史上空前の乱世”五胡十六国&南北朝時代”匈奴•鮮卑•羯•氐•羌半農半牧の屯田制&均田制科挙原型で実力主義の九品中正江南開拓の土断法道教&仏教の一般化五行説に基づき”火の漢”の後継を主張した魏と南朝寒冷化による遊牧民南下で漢民族文化と融合し現中華文…

「地上の見知らぬ少年」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家機械物質文明を嘆く難解な前期作と子供・伝統文化を讃美する平明な後期作の過渡期的作品液体=海個体=陸気体=空五感に訴えて森羅万象を謳う半エッセイ地上を見知らぬ無邪気な少年の淡く…