MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2024-04-05 to 1 day

「マーガレット・アトウッド”侍女の物語”を読む」

「侍女の物語」+「請願」の論文集 新自由主義(=帝国主義)の齎す格差と管理社会 それは全体主義ディストピアの予兆 発刊34年後のベストセラーとその続編を類書やドラマ版から考察 “人類史上前例のない事象は書かない作家”の代表作から未来社会への警鐘

「コスタリカ伝説集」

エリアス=セレドン編 コスタリカ歴史学者 122短編集 山脈も地峡も平野都市も乏しいコスタリカ しかし故にスペイン侵略を最も免れ0.2%の陸地に全世界5%の生物種が生息 エコツーリズムも盛ん 第1部:土地の伝承 第2部:宗教伝説 第3部:怪異譚 豊かな動植物と先…

「マジシャン」

コルム=トビーン著 アイルランド作家 ドイツ史上最大の芸術作家トーマス・マンの全生涯を描いた小説 火災保険経営社長の父 作家の兄 女優の妹(自殺) 資産家の義父 社交界花形の娘と息子 ノーベル賞受賞後ナチに抗い渡米 世界大戦の米独パイプ役からスイス永…

「空腹の技法」

ポール=オースター著 アメリカ作家 イメージよりリズム 論理より偶然 広く浅くより狭く深く 詩人的本質を持つ作家のフランス詩翻訳家時代の寄稿文を収録 ハムスン ベケット ペルス パス ペレック アポリネール シュルレアリスム ダダイズム 詩人から作家に…

「20世紀ラテンアメリカ短編選」総書評

ノーベル賞作家 4人を含むジャンル別でバランス良い傑作揃い且つ入門書でもある作品群 植民地期被支配性 ラプラタ幻想文学性 カリブ多国籍多人種性 アンデス密林マチズモ性 詩的マジックリアリズム性 ラテンアメリカ文学ブームは起こるべくして起きたものと…

「水の底で」

一日一編 20世紀ラテンアメリカ短編選 アドルフォ=ビオイ=カサーレス著 アルゼンチン作家 NTR変態SF版「人魚姫」 “若返る為に鮭になる手術を受けなければならない…” 鮭になった恋敵 鮭になると言う恋人 鮭になれなかった自分 鮭にさせようとする叔父 水の…