MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2023-08-09 to 1 day

「それぞれの少女時代」

リュドミラ=ウリツカヤ著ロシア作家6連作短編集“多民族国家ソ連の少女の性の目覚め”を優しく描写する群像劇コーカサスやユダヤにアメリカ育ちなど多感な少女達が鬱屈したソ連の学校社会で瑞々しく生きていく210Pながら巧みな人物描写は正に”現代のトルスト…

「蚊が歴史を作った」

全人類史上1100億人の50%は蚊で死んだ個体数:110兆匹出現期:1.9億年前生息地:ほぼ南極以外年間死者数:87万人変態期間:1週間対蚊製品年間売上高:¥1500億主要媒介病:マラリア・黄熱病・デング熱・像皮病・エボラ・HIV特徴:産卵期雌のみ吸血生物兵器化:ローマ帝…

「眠れる記憶」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家2中編やはり全過去作同様ナチ占領期パリの暗部に迫る曖昧な記憶と失踪者の模索がテーマ“眠れる記憶”1960年代の青春の憂鬱と女性との戯れを弄る様に懐古する老作家“隠顕インク”手帳を手掛かりに30年前に失踪し…

「エタンプの預言者」

アベル=カンタン著フランス作家若き日に反人種差別・階級運動を戦ったリベラル派アメリカ史教授レズの娘とその彼女に触発され米黒人詩人の研究書を刊行だがポリコレ不十分の言及にSNSで大炎上し社会的孤立頼みの綱の宣伝役の友人も極右で…?SNS内の”自称批…

「無限角形」

コラム=マッキャン著アイルランド作家ブッカー賞候補作限りなく円に近い無限の角形”アペイロゴン”イスラエル人によるパレスチナ人への迫害パレスチナ人によるイスラエル人へのテロ古今東西の歴史を引き合いに1001の章を夢見た理想の中東和平版「千夜一夜物…

「終わりのない日々」

セバスチャン=バリー著アイルランド作家1840年代ジャガイモ飢饉で渡米し安定を求めて大陸を旅する青年の”終わりのない日々”ロードノベル・同性愛・戦争・先住民・開拓移民・西部劇・アイルランド史…多様なテーマを音楽的かつ抒情性を伴いながら270Pの1人称…

「そして私たちは世界の物語の一部となる」

インド北東部アンソロジー 23短編集マニプール州アルチャナル・プラデーシュ州ナガランド州ミゾラム州山岳地帯4州街伝統的村社会では”レイプされた女性が罪”になり”その罪を赦した父が偉い”首狩り族からインパール作戦の日本人フェミニズムから山岳地帯 <ナ…