MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-05-27 to 1 day

「草原の神々の黄昏」

イスマイル=カダレ著アルバニア作家著者の半自伝反体制作家パステルナークのノーベル賞受賞(ソ連政府の意向で強制辞退)に物議を醸すソ連と東欧各国大国に翻弄される小国アルバニア青年作家は文学の権力への媚薬化に悶着する神話と民間伝承を忘れ鎖国を歩む…

「サラジーヌ」

オノレ=ド=バルザック著フランス作家4中編集全編とも近代芸術がテーマ“サラジーヌ”美の感性を追う彫刻家“ファチーノ・カーネ”盲目の透視者で楽器奏者の不思議な人生“ピエール・グラスー”芸術大衆化で一流に成り上がる二流画家“ボエームの王”王侯貴族独占→…

「服従」

ミシェル=ウェルベック著フランス作家パリ同時多発テロイスラム勢力台頭極右党首マリーヌ=ルペン躍進現フランス政界を悉く予見イスラム教とオイルマネーが既存の西欧的価値観を覆す様を描く冷静に時勢へ服従し出世するユイスマンス研究者トリコロールを翻…

「かつて描かれたことのない境地」

残雪著中国作家14短編集はずれなしの傑作選リアルかつ幻想的不条理かつ合理的どこかで見たことがあるようでまるで見たことがないメタファー的悪夢とその円環小説ならではの醍醐味である”物語世界に連れて去られてしまう未知体験と愉しさ”を存分に堪能できる …