MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-02-13 to 1 day

「美徳のよろめき」

三島由紀夫著著者の崇拝するラディゲ作品をオマージュ“美徳は人を孤独にするのに不道徳は人を同胞にさせる”発表当時”よろめき現象”が起きた問題作官能的でも醜さ皆無の文体は流石箱入り娘ながら浮気に快感を憶え4度の中絶を経た妻ゆらめく純真よろめく美徳“…

「鏡子の家」

三島由紀夫著美女運営の耽美サロン”鏡子の家”総合総社マンの渡米日本画家の霊能傾倒プロボクサーの筋肉論美形マッチョ俳優の右翼化4青年のストイックな美学追求とその挫折三島が小説家を志さなかった場合のパラレルワールドを余さず描く60年前発刊とは思えな…

「潮騒」

三島由紀夫著ギリシア神話「ダフニスとクロエ」のエーゲ的多島海がモデル美しき若者版「老人と海」三重県鳥羽市神島(旧:歌島)が舞台の海女少女と漁撈青年の純愛小島の美しい自然・文化・生活泡波の包む神秘の処女性灼けた砂浜に映える肉体美さざめき満ち干き…

「永すぎた春」

三島由紀夫著「高慢と偏見」的コミカル喜劇春は曙夏は夜秋は夕暮れ冬はつとめて“永すぎる青春”は亦た色付き色褪せてしまう相思相愛ながら学業や階級で婚期が遅れる男女の1年を追う浮気や親の干渉の果ての再来の春や如何に…?枕詞に世は情け草木繁りて青に良…

「近代能楽集」

三島由紀夫著8能楽集現代を舞台にした此岸と彼岸の仏教的古典世界を醸成人間の享楽を幻想的に描く古典リライトは世界の作家でも頻繁にいるが20代でこの完成度・博識・作風の書き分けは素人目線でも凄いと思う“邯鄲”“綾の鼓”“卒塔婆小町”“葵上”“班女”“道成寺”…