MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「絹と明察」

三島由紀夫
実話ベースの社会派小説
“社員は家族”と語る一方で個人崇拝と男権経営を行う紡績会社の社長
女工の圧死事故や豪遊が批判されストライキに発展
高度経済成長期の古臭い企業体質とブルジョワ支配を揶揄
真面目ゆえ憎めない社長と労働環境の着実な時代の変化が瑞々しさを感じる

舞台は大津と並ぶ滋賀の大都会は彦根

ハイデガーヘルダーリンの思想を支持する組合の思想背景は正直よく分からない…

三島の巧みな人間分析はもちろん労働争議を嗾ける黒幕のニヒルさと”昔は労働争議あったんだ…”という時代性が良い

f:id:MarioPamuk:20220216111212j:image