MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「サンクチュアリ」

ウィリアム=フォークナー著
ノーベル賞アメリカ作家
ヨクナパトーファサーガ一角
禁酒法時代
殺人と女学生強姦を犯した密造業者
復讐を恐れ冤罪を認める男とその撤回に奮闘する弁護士
拉致され娼街で発狂する娘
“聖域”を外れた各人の”7つの大罪”を余さず描く悪夢の様な暴力的作品

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著者の作品では最もエンタメ的
相変わらず密度濃く暴力支配の前時代的な描写が凄まじい

報われなかった版「罪と罰」という感じの構成
「サートリス(土にまみれた旗)」で登場したベンボウ弁護士もリサイクル登場

心情より行為の描写に焦点を当てる割にキャラ設定が深いため読み手によって感じ方が変化する