MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-07-24 to 1 day

「インド大反乱1857年」

1商社が1大陸3億人を征服したイギリス東インド会社の秘策は”徴税(ザミンダール)+徴兵(シパーヒー)の現地調達”マラーター同盟の敗北でムガル皇帝を擁立し大反乱へ獣脂使用の噂と藩王寝返りの諜報戦宗教による分断とシパーヒー懐柔カーストの壁を超えた反英闘…

「ディフェンス」

ウラジーミル=ナボコフ著ソ連作家寓意と歴史に満ちた不器用な天才チェスプレイヤーの恋と人生の物語チェスの才を受けチェスで妻とすれ違いチェスで成功しチェスプロブレム(詰将棋的1人チェス)にチェックメイト(破滅)するチェスゲームの様に孤独にディフェン…

「さすらう地」

キム=スム著韓国作家中央アジア諸国と韓国の間には直行便が多い日本軍スパイに紛れる朝鮮人を恐れたスターリンが強制移住で分散させた為だ10日間シベリア鉄道に詰められたヨーロッパ・アジア少数民族と高麗人(朝鮮系)の運命地獄の道程で餓死していく名も罪…

「帰りたい」

カミーラ=シャムジー著パキスタン系イギリス作家ブッカー賞最終候補テロリストの父を持つ兄妹5人の語り手を交錯させ移民問題のリアルを浮き彫りにする長女次女末弟長女の恋人(パキスタン系)恋人の父(内務大臣)テロリストとしてイスラム国に参加する弟「アン…

「発熱」

ジャン=マリ=ギュスターヴ=ル=クレジオ著ノーベル賞フランス作家10短編集日常を狂気が覆う短編“手紙”“発熱”“ボーモンが熱を知った日”“船は島に向かっているようだ”“うしろへ”“歩く男”“マルタン”“世界は生きている”“そのときわたしは平和と眠りを見出すだ…

「田舎医者/断食芸人/流刑地で」

フランツ=カフカ著ユダヤ系チェコ作家8短編集カフカは滑稽で笑えるそして後で急に悍ましさ恐ろしさ皮肉さが込み上げてくる“インディアンになりたい”“突然の散歩”“ボイラーマン”“流刑地で”“田舎医者”“夢”“断食芸人”“歌姫ヨゼフィーヌまたはハツカネズミ族”

「オノリーヌ」

オノレ=ド=バルザック著フランス作家3中編“オノリーヌ”“捨てられた女”“二重の家庭”いずれも理想的な女性が男尊女卑に苦しみ翻弄される内容200年前の女性は法的・経済的・家庭的にも男性の所持品扱いだった貴族社会を中心に男性の著者が鋭い先見と心理描写…

「コンビニ人間」

村田沙耶香著芥川賞受賞作“私の生活も夢も身体も価値観も全てコンビニで出来ている”38歳独身女性アルバイト処女趣味なし金なし社会不適合者でも18年間コンビニだけは自分と適合出来た…同じバイトを早々に馘になった無職30代エゴ男と同棲し”普通の生き方”を模…

アリ=スミス「四季4部作」総書評

最新&最長のポストBrexit +コロナ小説政治を強く意識し出版直前に起きた事件も盛り込んで一気に書くという実験的作風単著でも楽しめるが連作でも面白い表紙もお洒落ロンドンより地方を緻密に描き多和田葉子の様な言語遊びも盛り沢山英国のリアルを感じられた…

「夏」

アリ=スミス著スコットランド作家四季4部作4章夏は夜それは”繁茂の季節”新型コロナ急襲秋〜冬〜春の主要人物5人は個々の目的を携え道中を共に昏睡老人を目指す“どんな建築もsummer(大梁)は不可欠”分断は二元論ではない痛みも祈りも夢も悩みもそれぞれの想い…

「春」

アリ=スミス著スコットランド作家四季4部作3章春は曙それは”誕生の季節”ヘイトの助長才能が枯れ鉄道自殺を企てたTV&映画監督規定では3日のはずが何年も待機状態の移民収容所自殺を止め国外退去所で働く女性の前に12歳の開放少女が現れる物語はEU残留派が多…

「冬」

アリ=スミス著スコットランド作家四季4部作2章冬はつとめてそれは”死の季節”神様も平等も家族も死んだ冬トランプ大統領の告げた”新時代のクリスマスキャロル”グレタに憧れる環境活動家の姉自己責任論の弟すれ違う母と叔母雪の結晶は全て形が違う無数に舞う…

「秋」

アリ=スミス著スコットランド作家四季4部作1章秋は夕暮れそれは”老いの季節”イギリスEU離脱の国民投票世界大戦を目撃した齢101の昏睡老人彼を慕い見舞う若き美術史家女性戦争の負の遺産移民LGBTマスコミSNSイスラーム60年代コラージュ画“近くて遠い隣人たち…