MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-03-12 to 1 day

「乾いた人々」

グラシリアノ=ハーモス著ブラジル作家古典期の立役者でヴァルガス独裁にも抵抗し投獄の経験を持つ大旱魃に苦しみ更に近代化の波が押し寄せる近代ブラジル北東部家畜の牛と子供を連れた逃避の過程を追う”意識の流れ”荒野と太陽の下で搾取される”乾いた人々”…

「わたしの物語」

セサル=アイラ著アルゼンチン作家(この話がどうしてこうなるの…?笑)の連続それもそのはず書き始めたら徒然なるまま全く推敲しないという”奇才”アイラ6歳の少女(男)の一言“苺アイスが不味い”から始まる物語予想不能に紆余曲折し想像できない結末へある意味”…

「いまファンタジーにできること」

アーシュラ=K=ル=グウィン著アメリカ作家「ゲド戦記」著者“ファンタジーの女王”評論集童話も漫画もマジックリアリズムも広義のファンタジー「ハリポタ」後にエンタメ化で巨大市場に成長したが”小説”は減少伝統的ファンタジー小説に”いまできること”を考え…

「マレー素描集」

アルフィアン=サアット著シンガポール作家(マレー系)48短編集マレー語・タミル語・中国語・英語・アラビア語…学歴・冠婚葬祭・食・建築・宗教・民族…多民族多文化都市国家シンガポールの1コマを切り取り鋭い感性で表現金融・IT大国シンガポールの濃密で複雑…

「かかとを失くして/三人関係/文字移植」

多和田葉子著日本・ドイツ作家3中編集身体を物語に”翻訳する”魅技が素晴らしい“かかとを失くして”ゴーゴリ「鼻」踵喪失+カフカ「変身」イカ化版“三人関係”浮気を嗾ける女は夢か?現実か?“文字移植”翻訳者の苦悩と葛藤を描写日独2刀流の著者ならでは

「フォンターネ 山小屋の生活」

パオロ=コニェッティ著イタリア作家“スマホを捨てて森に立とう!”イタリア共和国アオスタ自治州フォンターネアルプスの優美な景色と星空川のせせらぎと虫の音寄り付く動物と植物の馥郁都会の喧騒を離れた”21世紀版「森の生活」”に救われたスランプ作家の体…

「昏乱」

トーマス=ベルンハルト著オーストリア作家父:山村の医師息子:父を過剰尊敬する世間知らずな鉱山学専攻学生患者:破壊・嫉妬・誹謗中傷の日常侯爵:国家の”意識不明な昏睡状態”を嘆く狂人“信頼できない語り手”の息子視点で延々と独白が続く気付けば作者の狂気…

「魔法の種」

ヴィディアダハル=スラヤプラサド=ナイポール著ノーベル賞トリニダード=トバゴ作家「ある放浪者の半生」続編妹の説得でインドの貧困革命を目指すゲリラに参加著者の分身的主人公が国際化の不安と未来に抗う”自分探しの旅”アフリカ→イギリス→インド“魔法の…