MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-01-19 to 1 day

「神の子どもたちはみな踊る」

村上春樹著6短編集“蜂蜜パイ”を除く全作品に阪神淡路大震災が関係“UFOが釧路に降りる”“アイロンのある風景”“神の子どもたちはみな踊る”“タイランド”“かえるくん東京を救う”“蜂蜜パイ”地震の直接的な被害や影響ではなく間接的な歯車の転換をシュールタッチで…

「モダン」

原田マハ著ニューヨーク近代美術館(MoMA)を巡る6短編“クリスティーナの世界”“中断された展覧会の記録”“ロックフェラー・ギャラリーの幽霊”“私の好きなマシン”“あえてよかった”芸術は芸術家と彼らを育み作品を見守る鑑賞者や庇護者あってこそ美しい現代アート…

「犬婿入り」

多和田葉子著日本・ドイツ作家2中編“ペルソナ”外見から東アジア人で括られ語られる事に違和感を感じるドイツ在住日本人の葛藤“犬婿入り”芥川賞受賞作近隣の塾講師が犬男に犯される民間伝承を現代と融合したホラー(映画化済)子供や家庭など日常生活に溶け込む…

「イタリア紀行 下」

ヨハン=ヴォルフガング=フォン=ゲーテ著ドイツ作家・ヴァイマル公国大臣(上)チロル→ヴェローナ→ヴェネツィア→フィレンツェ→シエナ→ローマ→ナポリ→ポンペイ→シチリア(下)ローマ長期滞在特にカーニバルや古典に詳しく船や馬車の旅も臨場感がある博覧強記か…

「イタリア紀行 上」

ヨハン=ヴォルフガング=フォン=ゲーテ著ドイツ作家・ヴァイマル公国大臣ゲーテ38才イタリアを征く実は鉱物オタクで学名が冠される程語学・土木・大蔵・美術・鉱物・水道・文学・建築…多才ゆえ1人で上記政務を抱え慰安旅行へ逃避行(故に寡作)文豪の鋭い観…

「方法異説」

アレホ=カルペンティエール著キューバ作家“序説を唱わば異説が罷る”マルケス「族長の秋」やバストス「至高の我」と並ぶ”3大独裁小説”デカルト的フランス啓蒙を気取る某中南米国独裁大統領親米を盾に豪遊し市民を弾圧夥しい固有名詞と1章1段落の長文が圧政を…

「恋するアダム」

イアン=マキューアン著イギリス作家“AIが意中の女性に恋した”“原初の人間”の名を冠されたAI”アダム”没落税理士と美女学生とAI奇妙な三角関係架空設定の1982年恋人が秘める”不可抗力な罪”をも暴き説法するAIAIに恋も肉欲も自慰も許されるのか?機械と人間の…

「法王庁の抜け穴」

アンドレ=ジイド著ノーベル賞フランス作家ローマ-ナポリ-パリが舞台の緩め設定版「天使と悪魔」ピカレスク小説奇跡体験で改心した科学者の末路法王幽閉の噂を流し救出作戦を唆す詐欺組織”百足組”組織の暗躍で”無償の殺人”を犯す青年だが…?宗教と近代の相剋…