MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-01-15 to 1 day

「アニマ」

ワジディ=ムアワッド著レバノン劇作家”◯種◯目◯学名”の様に人間を傍観する動物・虫の視点で語る独特な手法イスラエルの侵攻を受け亡命しカナダに住む男妻殺害の犯人を先住民生活域まで追い復讐を遂げる追跡過程で幼少期のレバノン内戦の記憶が走馬灯する野生…

「夜のロンド」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家第2作同じくナチ占領下パリ人を破壊し輪姦するナチと豪奢に耽る対独協力者たちのロンド(輪舞曲)仲間を売るユダヤ人機を衒い強姦で鬱憤を晴らすフランス人潜入するも逆スパイとならざるを得ないレジスタンス狂…

「エトワール広場」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家22歳の衝撃的処女作ナチ占領期パリ別冊用語解説集が付くほど夥しい注釈と固有名詞ヴィシー政府に迫害され”国民的ユダヤ系フランス作家”へ憧れる青年積極的に対独協力(コラボ)し被害者面に徹するフランスやユ…

「ヰタ・セクスアリス」

森鴎外著日本作家掲載当初発禁になった明治文豪の半自伝“vita sexualis”性欲的生活(ラテン語)多感な青年時代に性への目覚めを哲学的に分析していく寄宿舎の友人との吉原通い更に共産主義な自然主義文学への懐疑など当時の”社会の裏表”を鋭く描く流麗で難しい…

「誰がドルンチナを連れ戻したか」

イスマイル=カダレ著アルバニア作家中世某村遠国に嫁ぎ9人兄弟の葬式にも不帰の妹ドルンチナ突然の帰省死んだ兄が導いたと言うが…?救世主復活儀礼婚と”誓い”真相を追う警備隊長を待つ灰色の世界とは?小村の噂が事実へ更に伝承化し時代の転換を齎していく …