MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2022-01-07 to 1 day

「インド夜想曲」

アントニオ=タブッキ著イタリア作家12夜3地方3章構成ゴア・ボンベイ・マドラスで人探し旅を続ける欧米人モディアノ同様の絶妙な曖昧さ・伏線・洗練文体同種の文学の中でも完成度が高いと思うインド感や著者愛好のポルトガル詩人ペソアも上手く入れ込んでい…

「ペルーの異端審問」

フェルナンド=イワサキ著日系ペルー作家・歴史学者短編17集先住民を宗主国の北米は差別し南米は犯して征服した苛烈なカトリック布教肯定のため強姦も殺人も悪魔憑依の所業と嘯く者も多数全近代の権力者”異端審問官”の暴虐とリマの肉欲に猛る聖職者たちを弾…

「ブラス・クーバスの死後の回想」

マシャード=ジ=アシス著ブラジル作家死後に男が短章ごとに思いのまま回想を連ねる独特な文体人は死に様で語られるとなれば”死後の回想”ほどユーモアある話はない細切れの記憶と厭世に哀愁が漂う最後の奴隷制廃止国の社会と格差社会や独特の不倫文化にも注目