MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-09-29 to 1 day

「濹東綺譚」

永井荷風著日本作家著者=主人公が小説を書くメタ構造“濹東”即ち隅田川東の吉原娼婦街に入り浸りお雪に恋し放蕩の日々を送る著者実経験に基づき遊郭の劣悪な労働環境や急激に”江戸から明治”に変わる街並みと文化を緻密に描く季節の移ろいと文明開花前後の文…

「マーガレット・アトウッド論」

”サバイバルの作家”弱きを見つめ強きを批する小説・詩・評論・フェミ・人権・環境問題と多才な現代カナダ巨匠の文学評技法や発想は当然に全能力が高く個人的には総合力No.1の英語圏作家初期代表作を解説“サバイバル”“食べられる女”“浮かび上がる”“侍女の物語”

「経済社会の学び方」

“経世済民”毎日お金の為に経済活動する割に経済の知識は少ない現代人古典派からケインズまで近代や現代の経済政策と照合し実利性を検証日本は長期雇用でなく昔から欧米も同水準米・豪・加の移民国家は短期雇用日米貿易戦争→米中貿易戦争→米印貿易戦争(予想)→…

「廃墟の形」

ファン=ガブリエル=バスケス著コロンビア作家1948年 若き政治家ガイタン兇弾に斃すコロンビア内戦勃発ケネディ暗殺とボゴタの闇の蜜月…?2014年 内戦決着ガイタンのスーツ盗難容疑で逮捕された容疑者の目的とは…?著者を主人公に現代コロンビアの歴史と陰…

「陽気なお葬式」

リュドミラ=ウリツカヤ著ロシア作家窮屈なソ連からニューヨークに亡命したロシア人のコミュニティ画家は死を前にソ連崩壊と”歩んだかもしれない人生”を想起し異文化交流的”葬式”を願う宗教・人種・言語・文化を超えた移民たちの”陽気なお葬式”その死は愛と…

「ノーベル文学賞のすべて」

120年に渡るノーベル文学賞を解説専門家の選ぶ推薦受賞者22名候補になるも逃した9名受賞が期待される40名作品と作家を魅力を存分に解説 紹介する受賞者22名川端康成大江健三郎カズオ・イシグロシェイマス・ヒーニーオルハン・パムクT・S・エリオットトーマス…

「ペテルブルグの文豪」

ジョン=マクスウェル=クッツェー著ノーベル賞南アフリカ作家息子の自殺に衝撃を受ける“ペテルブルグの文豪”ドストエフスキー「悪霊」中心に作中登場人物が創作活動を妨害し彼を阻むメタフィクション癖の強いドスト文体を対照的で簡潔な表現が特徴なクッツ…

「女がいる」

エステルハージ=ペーテル著ハンガリー作家“女がいる”の冒頭で始まる97の連作短編女がいる憎んでいる愛している愛……憎……女は一体何人いるのか?男はどんな想いなのか?甘美に耽美に妖美に壮美に男と女の短くリズムある濃密な掛け合い女がいる時は常に男も側…

「傷痕」

ファン=ホセ=サエール著アルゼンチン作家カフカの様に事件自体ではなく事件後の変化を複数主人公で断片的に語る妻殺害容疑中に自殺した男それを取材する若き新聞記者記者の自堕落で卑猥な母賭博中毒の元弁護士妖艶な女中ワイルド翻訳に没頭する狂判事”心に…

「島とクジラと女をめぐる断片」

アントニオ=タブッキ著イタリア作家詩人ペソアとポルトガルに魅せられた著者の連作短編コラージュ“ヨーロッパ唯一のクジラの楽園”アゾーレス諸島鮮血と波飛沫を上げる昔日のクジラ漁撈と黄昏れる島人達夕陽を背に男は女に囁いた“岩壁に見えるのはクジラなの…

「インド洋海域世界の歴史」

東インド(東南〜東アジア)西インド(南北中米〜豪州)中世まで”世界の中心”インドが洋の東西を分けた後は山前は海季節風とダウ船の“イスラムの海”モルディブ・イエメン・マムルーク朝・南インド・スワヒリ・イラン・マラバール・ジャワ中心の700Pに及ぶ中世イ…

「アケメネス朝ペルシア」

200年3大陸に跨る初の世界帝国アケメネス(ハカーマニシュ)朝文武両道民族を碑文やヘロドトスの資料比較で検証キュロス2世の新バビロニア平定カンビュセス2世のエジプト征服ダレイオス2世の帝国完成クセルクセスのギリシア遠征インド〜ギリシア文明の融合を促…