MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-09-25 to 1 day

「ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち」

2014年時点のノーベル文学賞候補38人の作風・来歴・魅力を紹介(既に逝去した候補者も含む)この本の候補者4人が受賞予想はさておき世界文学の頂点を知るだけでも価値がある今年は強豪を抑え村上春樹が下馬評No.1!J.K.ローリングも登場!今年は誰が取るか? (…

「眠りの航路」

呉明益著台湾作家“竹は半世紀に1度だけ花咲く”その日”睡眠異常”を患い在日台湾人の父の記憶が走馬灯し始めた三島由紀夫・神話・B29・植物学・媽祖・工学多様な切り口で戦前に”日本人”として生きた”台湾人”の玉音放送後の葛藤を模索する日本と台湾”2つの祖国”…

「蜂の物語」

ラリーン=ポール著インド系イギリス作家“掃除族”から”女王蜂の母”に成り上がる蜂を擬人化し巣内の階級社会を描くディストピア小説雌雄求婚雀蜂・蜘蛛の襲撃と撃退集団意識の洗脳“受け入れ!従え!仕えよ!”蜂の生態に基づく全体主義コロニーが人間のリアル…

「ルベン=ダリオ物語全集」

ルベン=ダリオ著ニカラグア詩人・作家・外交官・翻訳家3歳で本を書き15歳で大統領秘書を務めた”神童”にして19世紀ラテンアメリカ最大&国民的詩人モデルニスモ(近代文芸)文学の祖眩く美しい言葉と神話や文学に政治史の膨大な引用に圧倒生涯全著作でお値段な…

「オン・ザ・ロード」

ジャック=ケルアック著アメリカ作家ビート文学の祖“ここではないどこかへ”そう呟きアメリカ一周の旅に出た酒に溺れ煙草を燻らせ女を抱く駆け抜けたRoute 66街を追い越したDriver’s High誰もがどこまでもOn The Road追い抜かれた喪失感を追越し車線で疾走し…

「失われた時のカフェで」

パトリック=モディアノ著ノーベル賞フランス作家失落した記憶と”その人”“揺蕩えども沈まず”エレベーターの昇降の様に“永劫回帰”の繰り返し2人きりの車両なのに周りに気遣い囁いた“美しい夏”の雪が散る夢遊病を患わった風が頬を凪ぐパリのとある失われたカフ…

「物語 パリの歴史」

山手線と同じ面積の計画的城壁都市パリ弱小豪族カペー家の後に百年戦争で中央集権化し”花の都”へシャンゼリゼ(エリーゼの野)カルチェラタン(ラテン区)リュクサンブール地区(ルクセンブルク)ノートルダム(貴婦人=聖母マリア)芸術・学問・文化の最先端モード…

「戦場を生き延びて」

イシメール=ベア著シエラレオネ国連親善大使1991年 内戦勃発“両手を失うか?友人を殺すか?”ダイヤモンドが国を戦場にした飛び交う蠅が血の海と炎に沈む優しかった少年は大量殺戮兵へ国連の更生で社会復帰2002年 内戦終結10年でGDPが20倍と目覚ましい発展の…

「海辺のカフカ 下」

殺された父の参考人として捜索されるカフカ少年殺人容疑で追われるナカタ老人四国の図書館に辿り着く2人カフカを図書館に住まわす男老人に付き添うトラック運転手カーネル・サンダースと美少女が導く2人の過去と未来を繋ぐ接点とは?海辺に浮かんでは消える…

「海辺のカフカ 上」

村上春樹著読み易いが解釈も多様で大衆ともマニア向け両方可カフカであり息子であり烏であり弟であり世界一タフな15歳の少年猫語を解する不思議な老人2人は同時に東京から高松へ向かう哲学・文学・音楽の蘊蓄を含みながら失踪した母と殺された父を巡る2つの…

「罪悪」

フェルディナント=フォン=シーラッハ著ドイツ作家・弁護士短編15集ホラー以上に恐ろしい犯罪サスペンス人間の”罪悪”を問い詰める“ふるさと祭り”“遺伝子”“イルミナティ”“子どもたち”“解剖学”“間男”“アタッシュケース”“欲求”“雪”“鍵”“寂しさ”“司法当局”“清算…