MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-09-04 to 1 day

「別れ」

ファン=カルロス=オネッティ著ウルグアイ作家3中短編集平易だが視点をブレさせた捉え難いリアルな世界とシュールリアリズム的文体“別れ”病床で知人と離別し死に向かう男の孤独“この恐ろしい地獄”猥褻画像をばら撒く女の真意とは?“失われた花嫁”狂人化する…

マリオ=バルガス=リョサ全23冊読破記念総書評

“文学は戦争の対義語たりえるか?”私の中のNo.1作家最年少40歳で国際ペンクラブ会長大統領候補経験官能・政治・芸術・風刺・歴史・推理と多様な作風1文単位で時空間を操り複数エピソードで物語に含みを持たせるリアリズムの最高峰巨大建築的小説群 以下は個…

「水を得た魚」

マリオ=バルガス=リョサ著ノーベル賞ペルー作家父の虐待暴力的軍校叔母との結婚記者の経験文壇登場政治運動著者が思想と半生を語る波瀾の自伝小説偶数章:少年期〜作家期奇数章:大統領選(vsフジモリ)銀行国有化反対を機に大統領候補へ後期作品に多大な影響…

「東欧の想像力」全19冊読破記念総書評

“東欧の想像力”ここに極まれり松籟社発刊の東欧業書セレクション民族・戦争・共産党独裁・ナチスなど全体的にダークなテーマが多いが世界から高評価を得る未邦訳作を選定信じ難い暴力美しき自然醜く悍ましい人間私自身また同ルートで旅するなら東欧一択だ

「死者の軍隊の将軍」

イスマイル=カダレ著アルバニア作家敵地に斃れた死せる英雄たちの回収を命じられた某国(イタリア)将軍と司祭掘り起こすは遺骨と遺品呼び覚ますは記憶と名誉甦る”死者の軍隊の将軍”脱走兵・名誉負傷者・パルチザン泥中の真実を弄る鬱蒼な雨が降る血の記憶と…

「修道師と死」

メシャ=セリモヴィッチ著ユーゴスラヴィア(ボスニア)作家近代オスマン帝国ボスニア州敬虔な神秘主義者スーフィーの修道師だが聖界から俗界の弟の冤罪逮捕から救うべく闇堕ちしゆく聖職者の葛藤と憎しみは伝統的カーヌーン(法)社会への復讐に結実孤独と裏切…

「帝都最後の恋」

ミロラド=パヴィッチ著セルビア作家ナポレオン全盛期のオスマン帝国が舞台カルヴィーノ「宿命の交わる城」同様にタロットで各章をシャッフルしても読める”始点も終点もない文学”3大名家中心にセルビア近代史上の恋愛劇を謳う”占いのための手引書”3度死ぬ主…