MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-08-12 to 1 day

「予告された殺人の記録」読書会

8/29(日) 14:00~ 「百年の孤独」のノーベル賞作家ガルシア=マルケスが最高傑作と自負する1冊実話に基づく”予告され止められたはずの殺人”コロンビア伝統的村社会夢であり幻であり現実異邦人と共同体の摩擦“ペルソナ”仮面を剥ぐその時“記録された真実”が現れ…

「逃亡派」

オルガ=トカルチュク著ノーベル賞ポーランド作家人も歴史も風景さえも当て所なく動き続ける世界各地116編の偶然の旅人”逃亡派”達の連作短編解剖学・生理学(血液と肉体の旅)心理学(表象と記号の旅)旅行学(地理と歴史の旅)量子学(物質の旅)神学(宗教と霊の旅)…

「墓のない女」

アシア=ジェバール著アルジェリア作家“戦争は女の顔をしていない”女の為の墓はない古都セザレー家父長的マグレブ社会登場人物はほぼ女支配言語フランス語で多声的に描く“ゲリラの母”スリバと証言者の女達の壮絶な独立闘争ヒジャブ脱ぎ捨て露になる精悍なそ…

「パムクの文学講義」

オルハン=パムク著ノーベル賞トルコ作家著者曰く作家は3タイプ“直感型”(詩的音楽的)クンデラ・ダンテ等“自意識型”(絵画的構造的)ナボコフ・トルストイ等“混合型”パムク・クッツェー等虚像と実像の境界を溶かし時空間と人を結び五感と普遍性を呼び覚ます独学…

莫言全21冊読破記念総書評

山東省高密県お馴染み”幻覚的リアリズム”の主要舞台上品な構成下品な台詞10主人公体制異世界転生語る肉片に蝕む高粱乳房偏愛症候群エロ・グロ・ナンセンス性地を這う魑魅魍魎世界観で莫言の右に出る者はいない文化大革命時代の飢餓や破壊を自他伝を交え物語…

「四十一炮 下」

莫言著中国ノーベル賞作家持ち前の異能と大食いを活かして巨大企業の製肉工場主任として少年ながら成功する主人公だが貧村と文盲ゆえ食肉競争を仕掛け反旗を翻す部下徐々に異能を信じられない家族ともすれ違い始めるが…?肉くて憎くて煮食すぎる法螺吹き小僧…

「四十一炮 上」

莫言著中国ノーベル賞作家現在と過去が交代進行し主人公が和尚に語る性欲と食欲の自分史改革開放直後の極貧村肉と心を通わせ会話できる異能を持つ大食い少年しかし屠殺村で5年も肉にありつけず極貧生活父が失踪し母と妹と過ごす中で肉神様が降臨し工場主任に…

「本人が語るドン=ファン」

ペーター=ハントケ著ノーベル賞オーストリア劇作家・作家聞き手と語り手のみ且つ書き手が語る再話形式豪快・父性・絶倫・悲哀・孤独・優雅・屈強・繊細マチズモの象徴スペイン好色漢ドン=ファン=デ=アウストリアカフカス〜アフリカまで女と旅の日々を懐…

「ブルジョワ世界の終わりに」

ナディン=ゴーディマ著ノーベル賞南アフリカ作家白人主体のアパルトヘイトに抗う白人がいた観光と資源で栄えた南アも世界から人種差別非難で経済制裁へ“ブルジョワ世界の終わり”の始まり宇宙飛行士を夢見た主人公秩序を失い日常が崩壊する過程をリアリズム…

「やし酒飲み」

エイモス=チュツオーラ著ナイジェリア作家四六時中やし酒浸りのアル中だが酒造係が逝去し”やし酒生活復活”のため”死者の街”へ頭蓋骨紳士灰の赤子蛇の舞踊楽荒唐無稽なヨルバ伝承の御伽噺その無秩序感は当時の合理的で息苦しい西洋文学に衝撃を与えたTheアフ…

「ブッシュ•オブ•ゴースツ」

エイモス=チュツオーラ著ナイジェリア作家7歳の少年が戦争から逃げ家族と逸れた先に”幽霊の森”へ到達実在のヨルバ民話や伝統を呪術神話化し反映した霊界冒険譚主人公は何十年も人間界帰郷を望むが割と霊界をエンジョイ幽鬼と結婚し通学し神となり殺され稲光…