MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-08-11 to 1 day

「悪い時 その他9編」

ガブリエル=ガルシア=マルケス著ノーベル賞コロンビア作家長編1+短編9集“悪い時”表題作240Pの長編はマコンド後日談1人の男の自殺に始まり悪質ビラが家の入口に貼られ住民が翻弄される話主人公は”街”そのもの映画の様に細部まで文章化し間接的な語りで読者…

「ミルクマン」

アンナ=バーンズ著アイルランド作家ブッカー賞受賞作2ヶ月間のジョギング中に少女が1人の男と数回遭遇するだけの話なのに面白い謎の人物ミルクマンストーカー?恋人?牛乳配達員?テロリスト?爆破犯?1970年代の無秩序な北アイルランド独立闘争から個人の…

「天堂狂想歌」

莫言著中国ノーベル賞作家1987年”蒼山ニンニクの芽事件(山東省)”失政で過剰生産の大蒜が価格暴落・悪臭腐敗した実事件がモデル激昂の農民vs隠蔽の県議会雪崩打つ農民に対し当局は投獄・拷問・改竄を尽くす実際に大蒜が鼻を突く様な文章で訴える歌い踊り豊作…

「コスタグアナ秘史」

ファン=ガブリエル=バスケス著コロンビア作家案内役はコンラッド「ノストローモ」彼と千日戦争に翻弄される一族の邂逅レセップスの破綻後コロンビア領パナマを運河開鑿のため分離独立させるアメリカ記者の父と娘祖国と”秘史”を盗むコンラッドコロンビア目…

「ヴァイゼル・ダヴィデク」

パヴェウ=ヒュレ著ポーランド作家1967年グダニスク(ダンツィヒ)旱魃で魚の死骸が跋扈爆破事件後に失踪したユダヤ少年ヴァイゼル“彼は何者だったのか?”彼と居合わせた少年達は当局に詰問され記憶の断片を紡いでいく「Stand By Me」にミステリ要素を加えた反…