MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-07-10 to 1 day

「ミドルマーチ2」

ジョージ=エリオット著 イギリス作家美貌で献身的だが世間知らずなドロシア27歳上の学究一筋牧師カソーボン数々の縁談を退け結婚するがローマ旅行ですれ違う野心家の若医者リドゲイト姉の異例結婚を訝しむロザモンド恋人の家族へ恩を借金で返すフレッド姉を…

「ミドルマーチ1」

ジョージ=エリオット著イギリス作家純文学の全要素を持つ“英文学の最高傑作”仏文学的な心理描写とヴィクトリア朝の荘厳な物質描写産業革命の新興都市”ミドルマーチ”縦糸の職業・人物横糸の文化・伝統絡み絆し縺れ緩み結ぶ多階層の多様な人間が織り成す”ある…

「小説読解入門」

ジョージ=エリオット著「ミドルマーチ」「カラマーゾフの兄弟」と共に文学のイロハを網羅した“最高峰の英文学”を題材に小説の構造と技法を学ぶ“意識の流れ”“自由間接話法”教養こそ純文学の必要条件本書単品でも文学の造形を深められる準備は万端「ミドルマ…

「方形の円」

ギョルゲ=ササルマン著ルーマニア作家架空都市SF連短編集アリストテレスは云う“人間は極めてポリス的な動物である”円形都市バグダード方形都市長安環状都市パリ歴史・風習・伝説・神話をモチーフに”建築”された36都市各短編が「ダブリナーズ」級の密度で圧…

「最後の兄弟」

ナタシャ=アパナー著フランス系モーリシャス作家アフリカ群島国家の”知られざるユダヤ史”兄弟2人を災害に奪われ刑務所に移住したモーリシャス少年イスラエル独立に伴い移住を試みるも”不法移民”として島に収容されたユダヤ少年”最後の兄弟”の契りを交わし脱…

「嘘から出たまこと」

マリオ=バルガス=リョサ著ノーベル賞ペルー作家“私の中の神”リョサ小説とは”嘘から出た誠”を立体化する崇高な試みである35の世界文学と作家をリョサ独自の視点で分析した評論集著者自身も文学的造詣と文学的技法を駆使する特にラテンアメリカ文学と英米仏…

「人間ぎらい」

モリエール著フランス劇作家ブルボン朝フランスの宮廷社会を描いた作品肉欲と堕落に塗れる社交会に憤慨するピュアな青年皮肉にも彼が惹かれたのは典型的なファムファタルの妖艶美女相容れない2人の必然的な破滅という”悲劇”をあくまで人間臭い愛憎深めし”人…

「ソーネチカ」

リュドミラ=ウリツカヤ著ユダヤ系ロシア作家“本の虫”で恋愛も交友も仕事も淡白な少女ソーネチカ女とは成程”愛に生きる”結婚〜育児〜離婚と並の人生を送る中で訪れる突然の別れモーパッサン「女の一生」を彷彿とさせるが性別も国籍も性格も違うのに感情移入…

「砂漠が街に入り込んだ日」

グカ=ハン著韓国系フランス作家連続短編9集グローバル化の一方で親族や近所の付き合い薄れた無味乾燥な現代は”拓かれた閉鎖社会”先進国共通だが経歴社会の韓国は尚更自由なのに砂が侵食する世界人間1人が消えようと街は煌めき続ける淡白な現代の孤独と絶望…

「朝露の主たち」

ジャック=ルーマン著ハイチ作家ハイチ・カリブ文学の父15年振りにキューバから戻った男は水不足のハイチを救うべく立ち上がる村同士で対立し我田引水を目論み争う中で敵ながら恋と友情を育むが…?ブードゥー教やハイチ神話の呪術観と奴隷貿易後のカリブ黒人…