Entries from 2021-07-10 to 1 day

「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」

村上春樹著高校の仲良し男女5人組は名前に”色の字”を持つ“多崎つくる”彼以外は大学で上京直後に原因不明の絶縁を伝えられた”色彩を持たない男”16年後恋人に諭され過去の真実を巡礼する旅へ記憶と虚無の洗礼色など所詮は光の屈折輝き方は自分次第

「白い犬とブランコ」

莫言著中国ノーベル賞作家飢餓と孤独と貧困を土臭く描いた短編集魔術的リアリズム長編が代名詞の莫言だが短編も未開の農村が舞台“涸れた河”“洪水”“猟銃”“白い犬とブランコ”“蝿と歯”“戦争の記憶断片”“奇遇”“愛情”“夜の漁”“奇人と女郎”“秘剣”“豚肉売りの娘”“初…

「修道院回想録」

ジョゼ=サラマーゴ著ノーベル賞ポルトガル作家18世紀最大の富裕者ポルトガル王ヴァチカン以上のマフラ修道院建設に燃えるジョアン5世隻腕の夫と透視能力の妻は神父と近代気球開発で建設効率化を目指すが異端容疑で迫害され夢と愛が引き裂かれていく夥しい史…

「昼の家 夜の家」

オルガ=トカルチュク著ノーベル賞ポーランド作家“昼の家”意識“夜の家”無意識キノコと戦争のイメージフロイトの夢-意識-無意識の死生観精霊的リアリズムポーランド国境と心理学を土台にした101連作短編夢料理宇宙占い殺人神話聖人歴史無関係が関係し合う静謐…

「生きて 語り伝える」

ガブリエル=ガルシア=マルケス著ノーベル賞コロンビア作家“永遠の古典”を約束された作家の物語調自伝11人兄弟と貧しくも古典に親しんだ瑞々しい少年時代からジャーナリストへそして「百年の孤独」誕生秘話壊滅的な政治状況の中で”生きて語り伝える”ため生…

「フロイト 夢について語る」

ジークムント=フロイト著ユダヤ系オーストリア心理・精神科学者“夢分析”を巡る重要論文6集夢は昼の記憶整理と本質願望の延長テレパシーや正夢はこの積極的実現を意味する極めて現実的な現象また童話は夢の複製であり疑似体験正に人間は“夢の様な気分”を日々…

「ハーン=ハーン侯爵夫人のまなざし」

エステルハージ=ペーテル著ハンガリー作家オーストリア〜ブルガリアまでのドナウ川”歴史&文学”クルーズ!キシュ「見えない都市」のパロディ中東欧作家現代東欧史侯爵夫人と付き人が魔術的リアリズムで引導しドナウ沿岸都市とモザイク地域”東欧”を立体化 因…

「誰がパロミノ=モレーロを殺したか」

マリオ=バルガス=リョサ著ノーベル賞ペルー作家「緑の家」など過去作キャラ再登場でペルー社会の闇を暴くミステリ老木に串刺しにされ骨肉を抉られた死体誰が航空員パロミノを斬殺したか?飄々とキレ推理を進める一方で艶女に熱を上げる警部補の恋慕が絶妙

「青い鳥」

モーリス=メーテルリンク著ノーベル賞ベルギー作家“青い鳥文庫”の由来でもお馴染み世界中で読み継がれている童話作家の代表作クリスマスにチルチルとミチルがダイヤモンド付き魔法の帽子を携えて幸運の青い鳥を探す擬人化した炎や光も砂糖も語り手として参…

「フォークナー短編集」

ウィリアム=フォークナー著ノーベル賞アメリカ作家アメリカ南部が舞台のヨクナパトーファサーガ8短編集光のヘミングウェイ闇のフォークナー同時代同舞台の巨頭でこうも違う黒人差別は勿論インディアンや白人内格差も残酷人種に留まらぬ人間の暴力性を衒う高…

「見知らぬ島への扉」

ジョゼ=サラマーゴ著ノーベル賞ポルトガル作家難解で段落や文が1P超えも珍しくない著者の”大人のための童話”大人になると忘れてしまうこと大人になって思い出したいこと見知らぬ島などないポルトガル国王に少年は船を望む“見知らぬ扉”を楽しむ好奇心こそ今…

「林檎の木」

ジョン=ゴールズワージー著ノーベル賞イギリス作家自然と生命の描写が美しい田舎に療養中の青年は林檎の木の下で可憐な少女に一目惚れし婚約だが魅力的な上流女性を救い2人の女性を愛してしまう選べる女性は1人壮年した彼は今その選択を懐古する青春は甘酸…

「見えない都市」

イタロ=カルヴィーノ著イタリア作家“文学の魔術師”が送る歴史メタフィクション世界帝国の覇者クビライ汗最新研究では実在しないとされるマルコ=ポーロ2人が中世に噂された架空都市を語り合う55”都市伝説”寓意性+御伽噺+歴史=摩訶不思議”な見えない都市”幻…

「あまりにも騒がしい孤独」

ボフミル=フラバル著チェコ作家騒がしい日々に笑えなくなっていた“聞こえない叫び”それが孤独真に孤独とはあまりにも騒がしいナチとソ連の検閲下で発禁書を大量処分する日々レア本集めが密かな愉しみ“本を燃やす者は人も燃やす”書物から聞こえる有象無象の…

「砂時計」

ダニロ=キシュ著ユダヤ系セルビア作家複雑な入れ子構造と寓意性冒頭”ルビンの壺”或いは砂時計は父と子の顔を挟む”戻りえぬ時間”の象徴か?アウシュヴィッツに消えた父の遺した手紙・旅の絵・証人喚問・狂人の覚書円環する記憶と空間をタルムードが導く”東欧…

「女であるだけで」

ソル=ケー=モオ著マヤ語メキシコ作家少数先住民族マヤ語を駆使したフェミニズム文学奴隷売買で男に買われ望まぬ配偶者にされた先住民の女が彼を殺害“女であるだけで”“先住民族であるだけで”犯罪も不幸も環境整備で防止可能日本の貧困や虐めにも共通するの…

 ナギーブ=マフフーズ読破記念総書評

アラブ及びエジプト唯一のノーベル文学賞受賞者イスラムの哀愁漂う喧騒な現代カイロを中心としたリアリズム小説遠い日本の村社会や後進的ながら由緒ある伝統を余す所なく描く代表作「バイナル=カスライン」”カイロ3部作”は激動の近代を彫刻の様に塑像した傑…

「暮れなずむ女」

ドリス=レッシング著ノーベル賞イギリス作家イラン出身ジンバブエ在住フェミニズム文学の火付け役子育て終了後の「女の一生」を描く世界食糧会議に出席する初老女性は若い貴婦人と行動一昔前の女性社会と途上国のリアルとフェミニズムの光と闇を写実的文体…

「サマータイム」

ジョン=マクスウェル=クッツェー著ノーベル賞南アフリカ作家自伝3部作3部世界的作家になるまでの裏側を著者が死後に評論出版されるという仮設定アトウッドと並び2度ブッカー賞を受賞した著者の3度目の候補作最大で25回も推敲される無駄のない文体と個性的…

「青年時代」

ジョン=マクスウェル=クッツェー著ノーベル賞南アフリカ作家自伝3部作2部大学時代〜IBM英国本社勤務〜小説家クッツェー誕生までの半自伝ノーベル賞受賞理由”アウトサイダーを様々な文学的手法で描写した”を体現した1冊青年は斜陽の英国で”異端者”扱いに苦…

「少年時代」

ジョン=マクスウェル=クッツェー著ノーベル賞南アフリカ作家自伝3部作1部アパルトヘイトを目にした少年時代の半自伝多言語多人種社会で白人に都合の良い言語・歴史教育が罷り通る様が生々しい鞭打ち教育や人種迫害等の時代や社会を個人的体験と結合し更に…

「敗残者」

ファトス=コンゴリ著アルバニア作家中国式社会主義と無宗教を導入したアルバニア閉鎖的格差国家の大量移民は当然主人公も亡命を図るが直前で下船し一族に裏切り者がいた為に国内で迫害に苦しむカフカやカミュも描いた敗れ残った者に待つ不条理は”世界そのも…

「ニグロと疲れないでセックスする方法」

ダニー=ラフェリエール著ハイチ作家“差別は受けて初めて理解できる”例えば黒人は性欲が強いという固定観念一方で黒人も白人に憧れる挑発的な題名と真逆な文学好きのコーラン実践家の黒人カナダ学生黒人の知性や文化はセックス以上に退屈しないと訴える

「ジュスタ」

パウル=ゴマ著モルドヴァ(ルーマニア)作家クンデラ同様に東欧から亡命し大統領に仏国籍を提案された反社会主義者ゴマの半自伝社会主義礼賛を目的に設立された文学大学惚れた女ジュスタ(正義)を彼女目線で主人公がパリの橋上から懐古する孤独と欺瞞に満ちた…

「泥棒と犬」

ナギーブ=マフフーズ著ノーベル賞エジプト作家貧困が蔓延るカイロ社会のリアル犯罪も日常茶飯事の世界を主人公の泥棒目線で静かに且つ痛烈に訴えてくる妻と子分の裏切りに復讐を誓い義賊となるが最終的に殺人を犯し本物の犯罪者に堕ちていく節目ごとに現れ…

講談社学術文庫の本棚

講談社文庫の電子書籍セールが終わったらしい私も中公新書や光文社古典新訳文庫と共に講談社学術文庫には大変お世話なっております

「ぼくらが漁師だったころ」

チゴズィエ=オビオマ著ナイジェリア作家ブッカー賞最終候補“目から鱗”イエスとガリラヤの漁師ペテロに因む諺聖書的寓意性を持つ構成と複雑な多民族多言語社会狂人の予言が家族と4兄弟を地獄に招く現代版「崩れゆく絆」不条理に忤う”漁師だったころ”は戻って…

「プラヴィエクとそのほかの時代」

オルガ=トカルチュク著ノーベル賞ポーランド作家“宇宙の中心”架空都市プラヴィエクコペルニクス地動説や世界大戦の中心的戦場だった歴史を想起させる誰もが読めるが読み解けない深く静謐な寓意に満ちた神話世界に圧倒黒と白の川が交わるニェビェスキ一族の…

「ミドルマーチ4」

ジョージ=エリオット著 イギリス作家結婚生活の現実は3組のカップル達を翻弄するも愛を咲かす一方サスペンス調で露呈していくバルストロードの過去に街の反応は如何に…?時に繋がり時に綻ぶ小さな街の目まぐるしい人間関係のタペストリーの大円団!“ミドル…

「ミドルマーチ3」

ジョージ=エリオット著 イギリス作家2人の老人フェザストーンとカソーボンの死と遺産相続問題未亡人ドロシアは学徒ラディスローと惹かれ合う一方で浪費癖と病院新設の借金からすれ違うロザモンドと医師リドゲイト選挙が街を包む中で銀行家バルストロードと”…