MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-06-11 to 1 day

「カルメン/タマンゴ」

プロスペル=メリメ著フランス作家文化推進大臣だけあり題材はバスク地方やロマに黒壇奴隷貿易など非常に多民族的“カルメン”タンゴ舞う情熱的なバスク女に狂う男の末路とは?“タマンゴ”黒人奴隷貿易船上で反乱の成功その先に待つ血みどろの内乱は黒人差別か…

「アムステルダム」

イアン=マキューアン著イギリス作家 ブッカー賞受賞作社交界の女王の葬儀敏腕新聞編集長首相候補の大臣世界的音楽家3人の愛人は嘆き貶め合いスキャンダルに堕ちる安楽死・麻薬・飾り窓彼らを待つは“天国という地獄”アムステルダム痛烈なブラックジョークと…

「市場対国家 下」

“管制高地”国家が経済を調整するイギリス病やオランダ病を克服した”鉄の女”サッチャー彼女を嚆矢に金融ビッグバンが生まれ技術革新・グローバル化・IT化が進む反対に保護貿易を選んだネルー“白黒問わない鼠取り”に方向転換した鄧小平国家も市場も大事だが今…

「市場対国家 上」

“市場vs国家”戦後国際経済を一言で表せばそうなるだろう共産主義ソ連vs資本主義アメリカその歴史を西洋中心に中東とアフリカを除く各国経済政策の軌跡を辿る現在“歴史の終わり”とまで持て囃された資本主義は格差拡大・ヘイト・貧困層増加を助長市場と国家の…

「モラルの話」

ジョン=マクスウェル=クッツェー著ノーベル賞南アフリカ作家性•老い•嘘•動物•本能•言語人をヒトたらす”モラルの話”の7短編集覇権言語の英語を以ての英語批判は言語学者ならでは“犬”“物語”“虚栄”“ひとりの女が歳をとると”“老女と猫たち”“嘘”“ガラス張りの食…

「古代マヤ文明」

河川がなく泉に集住した古代マヤ文明は多移民族都市国家ポポル=ヴフの世界高度な文明都市を築いても放棄し移動する神秘歯牙変工・頭蓋変形・割礼・供犠兆京垓穣まで理解し浄水施設や高度な表意文字を駆使カラクムルやパレンケの覇権国家からグアテマラ周縁…

「二都物語 下」

チャールズ=ディケンズ著 イギリス作家ロンドンから帰還した亡命貴族をギロチンが待つ荒れ狂う市民は遂にバスティーユ牢獄を破壊し王族と反対派を処刑貴族と弁護士は互いに医師の娘に恋をする貴族と瓜二つな弁護士がスパイとして乗り込み下した決断とは、、…

「二都物語 上」

チャールズ=ディケンズ著イギリス作家 ヴィクトリア朝文豪の代表作フランス革命前後のロンドンとパリに翻弄される亡命貴族(エミグレ)と市民ル=ボンの「群集心理」の様な革命期の狂気とリアルが伝わってくるジャーナリズム的描写テンポ良い文体明確な人物設…

「にんじん」

ジュール=ルナール著 フランス作家子供は天真爛漫・天衣無縫大人はそう思いたがるが実情はより複雑だ赤毛とそばかすの醜い外見ゆえ家族から冷遇され”にんじん”と渾名される少年反抗・従順・動物虐待・英雄崇拝・自己陶酔、、コクトーやシェリ等フランス文学…