MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

Entries from 2021-05-02 to 1 day

「疫病と世界史 下」

天然痘・ペスト・インフル・結核・癩病(ハンセン病) 感染症は吐血や皮膚炎など視覚的にインパクトがある 疫病発生時に人は宗教に縋る ユダヤの出エジプト・五斗米道・宗教改革・イスラーム神秘主義、、 どれも疫病が発端 付録の中国疫病発生年表が15Pあって…

「疫病と世界史 上」

人は自分が理解していない事ほど恐い ちゃんと勉強すべき 疫病は人間に寄生する 50年前に”核戦争より脅威なのは疫病大量感染”と語っていたマクニール ペスト:中東1/2・ヨーロッパ1/3の死者 新大陸:スペイン人の疫病に免疫がなく人口99%全滅 中国:疫病流行で…

「数学の歴史」

数学・科学者たちの発見と苦闘のエピソード 中世では神学の婢でしかなかった数学が市民権を得るまでの偉人達の物語 近代まで抽象的な論理学 “シチリアの魔術師”アルキメデス “宰相兼聖職者兼天文学者”コペルニクス “ニュートンに消された男ロバート=フック …

「グランド=ブルテーシュ奇譚」

オノレ=ド=バルザック著 フランス作家 “人間喜劇”の名の通り鋭い人間観察が光る長短篇の旗手 人物1人1人の強烈な個性がぶつかり合うが打ち消し合わない文体とリズム さらにそこからの多彩なオチ あえて言えば共通項は物欲と色欲の強い(?)フランス的要素 滑…

「クリスマス・キャロル」

チャールズ=ディケンズ著 イギリス作家 老いたケチな守銭奴スクルージ しかしクリスマスキャロルが流れる頃に夢で精霊に導かれ亡友が家族・雇用者・町民の存在の大切さを説く ケチから寛容者への変貌 現代日本の高齢者も見習うべし イギリスの国民的文豪が…

「ヒトの目 驚異の進化」

未来予見=目の錯覚はヒトが少し先の未来を推測した視界を提供する 色覚把握=表情を読む為に肌の色の分別に特化しだから体毛がない 透視=片眼の死角をカバーし合う 霊読=象形の判別で死者や記録の本質を推理 言わばONE PIECEの”見聞色の覇気”が人間には生…

「ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿」

職業科学者の成立は1850年頃 それ以前はパトロンや自費研究のため副業が必要だった 科学史の偉人の職業遍歴と懐事情を紹介 エルムスラント公国政治家コペルニクス 大蔵大臣ニュートン 徴税人ラヴォアジエ(故に処刑) 昨今の日本の研究予算低下の警鐘を鳴らす

「共産党宣言」

マルクス・エンゲルス共著“共産主義という妖怪が徘徊している”1848年革命を起こした問題作宣言自体は約40Pのパンフレットなので読み易い他に各国翻訳までの往復書簡・時代解説収録で激動期を詳細に描く機械化・格差拡大が蔓延する現代こそ響くスローガン“万…

「砂の本/汚辱の世界史」

ホルヘ=ルイス=ボルヘス著 アルゼンチン作家 “円環”がテーマ 短いからこそ筆者の主張がギュッと詰まった短編が好き “砂の本には終わりも始まりもない” “ゴールという言葉にはゴールがない” 小泉進次郎構文みたいで好き笑 汚辱の世界史も興味深い 女海賊鄭…

「シークレットエージェント」

ジョゼフ=コンラッド著 イギリス作家 諜報員と聞くとバーボンや007のイメージ だが主人公はデブ・無政府主義者・怠惰・自己保身の塊 怠け過ぎで叱られ軽い気持で爆破テロ事件実行へ しかし秘密にしていた妻とその弟も否応なく事件に関わり、、? テロ前後の…

「1ドルの価値/賢者の贈り物」

O=ヘンリー著 アメリカ作家 銀行資金横領疑惑から収監された経歴を持つ元記者の作家 異色の経歴と記者らしい写実的表現で東・西・南・北部と各地の文化を投影した短編を書く どんでん返し的短編をコンパクトに纏める文章力が凄い もしも現代に生きてればTwi…

「飛ぶ教室」

エーリヒ=ケストナー著 ドイツ作家 ムージルの「寄宿生テルレスの混乱」やヘッセの「車輪の下」と同じく少年達の青春を描く 上の2作との大きな違いは青春の葛藤ではなく良さを描く点 隣のギムナジウムと縄張り争いするというヤンキー的となっている学園モノ…

「神を見た犬」

ディーノ=ブッツァーティ著 イタリア作家 幻想的でオチが深いカトリック的教訓が特徴の短編22集 少し難しいのでじっくり読むタイプの短編 罪と罰 善と悪 聖と俗 カトリック総本山ヴァチカンお膝元イタリアに生を受けた 2つの世界大戦と冷戦を観察し近代科学…

「モーセと一神教」

ジークムント=フロイト著 オーストリア医学者・精神科学者 医学・神話・歴史に通じ自身もユダヤ人のフロイトならではの論評 トトメス(トト=モーセ) ラムセス(ラー=モーセ) “モーセ”はエジプト語で”息子”で古ユダヤ語ではない 彼はエジプト人で出エジプト後…

「寄宿生テルレスの混乱」

ロベルト=ムージル著 ドイツ作家 文字通り心身ともに毛が生え始める思春期 ホモ・非行・イジメ・異性愛・娼婦接近・反抗期・学問への関心・ヤンキー化 上記全てを主人公テルレスが経験する訳ではなく”傍観者”として初体験尽くしで混乱する様を描く 思春期を…