MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「第三帝国」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
スペイン南部カタルーニャ地方の秋のビーチ
戦争ボードゲーム第三帝国”王者が暇潰し相手だったはずの”火傷”
しかし図書館で学び実際にゲームも勝ち越していく”火傷”とは対照的に王者は徐々に精神崩壊が進む
現実と虚構の不穏で静かなリンクが怖い

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「チリ夜想曲」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
著者の分身=カトリック司教が延々に淡々とチリの政治・詩・文学の持論を述べる
基幹産業国営化を目指したアジェンデ
圧迫軍政のピノチェト
国民的詩人ネルー
どれも客観的かつ冷静に分析し独白(もはや司教感0笑)
暗黒時代のノクターン夜想曲

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「2666」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
5部2段組880P
「老いぼれグリンゴ」+「V.」+「わが人生の小説」+「戦争は女の顔をしていない」
ノーベル賞候補のドイツ作家は何故メキシコに渡ったか?
架空作家の評論+来歴+著作
メキシコ性暴力犯罪+貧困+搾取
暴かれる“世界の縮図”の現実と地獄絵図

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1部 批評家たちの部
2部 アマルフィターノの部
3部 フェイトの部
4部 犯罪の部
5部 アルチンボルディの部

数年前まで強姦・殺人件数が世界最多メキシコ都市シウダー・ファレスがモデル

小説内小説+詩+文学論+南北格差+犯罪+フェミ+歴史+戦争+人種+探偵+ホラー+SF +ルポ
文学の主要議題を網羅した巨作

「野生の探偵たち 下」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
メキシコ・中南米・ヨーロッパ・アフリカ・イスラエル
混淆する前衛詩人放浪者の足跡
虚構と現実
相違と共通
詩の衰退への悲嘆と賛美
謎の女性詩人を追う終幕の舞台はメキシコ北部の砂漠へ
永遠の青春を求めた“野生の探偵たち”の半自伝

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「野生の探偵たち 上」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
第1部 メキシコに消えた詩人たち
第2部 野生の探偵たち
第3部 ソノラ砂漠
メキシコ学生の結成した前衛詩革命運動組織”はらわたリアリズム”
有象無象の詩人たち
世界各地53の多階層の知識人〜一般市民までが語る中心人物2人の実像とは…?

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「売女の人殺し」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
13短編集
パブロ・ネルーダとガブリエル・ミストラル
ノーベル賞詩人を2名輩出した詩人の国チリ
“女ってのは売女の人殺しよ”
死姦趣味の有名詩人にレイプされる死体の女の魂や著者の分身と多彩な語り手
ピノチェト軍政下の詩の抑圧批判と回顧

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収録作
“目玉のシルバ”
“ゴメス・パラシオ”
“この世で最後の夕暮れ”
“1978年の日々”
“フランス・ベルギー放浪”
“ラロ・クーラの予見”
“売女の人殺し”
“帰還”
“ブーバ”
“歯医者”
“写真”
“ダンスカード”
エンリケ・リンとの邂逅”

 

「はるかな星」

ロベルト=ボラーニョ著
チリ作家・詩人
チリ軍政下に実在した飛行機雲で詩を描くパイロット
”飛行詩人”カルロス・ビーダー
有名詩人ゼミ?
セレブ美男子?
ポルノ男優?
放浪者?
複数の顔を持つ怪人は裏で残虐非道を繰り返す異常者
語り手と刑事の追跡
詩を間奏の様に挟んで進む物語

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