MarioPamuk’s diary

海外文学と学術書の短文感想&忘備録

「わが悲しき娼婦たちの思い出」

ガブリエル=ガルシア=マルケス
ノーベル賞コロンビア作家
“90歳の誕生日に処女を抱く”
川端康成眠れる美女」がモデル
目を疑うテーマながら淫靡でも下衆でもなく純愛で描き切る著者の力量は流石
肉体的衰退を齎す”老い”と対極の若さを儚さと美しさで包み込む物語

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「物語 ビルマの歴史」

上座部仏教化で政教一致しこれがロヒンギャ問題の元凶になる
1〜3次の英緬戦争後インド帝国の食糧・資源庫として搾取
日本軍の強制労働を”泰緬鉄道建設の負の遺産”として世界遺産申請検討
アウンサンスーチーが「仮面の告白」を読めるほど日本語通
ビルマ史の複雑さがよく分かる

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「文学会議/試練」

セサル=アイラ著
アルゼンチン作家
中編2作を収録
“文学会議”
マッドサイエンティストが文学会議に参加しカルロス=フエンテスのクローン製造を試みるが…?
“試練”
スーパーを襲う3人のパンク少女
行動原理は謎でも愛と本気が伝わるヒッピーに微笑む
非現実的設定ながら妙に現実的

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「中心の発見」

ヴィディアダハル=スラヤプラサド=ナイポール
ノーベル賞トリニダード=トバゴ作家
トリニダード生活〜作家までの自叙伝とコートジボワール紀行文の2本立て
列強植民地の苦悩と脱却から生まれたポストコロニアル文学
その審美眼で自身の印僑文化と西アフリカに共通する呪術性を分析

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「誘拐」

ガブリエル=ガルシア=マルケス

ノーベル賞コロンビア作家
総資産7兆円”メデジン麻薬王”パブロ=エスコバル
vs
ガビリア大統領
汚職政治家の親族を誘拐し交渉する一方で貧民は救済
麻薬王は”英雄”であり”悪魔”
ジャーナリズムに徹し加被害者双方の視点で描く
現在は終戦しサントス大統領は2016年ノーベル平和賞受賞

2016年3月メデジン
パブロ=エスコバルの拠点を旅しました
写真はピエドラ=デル=ペニョールからの絶景とメデジン市街
カラフルな街が湖に半分浮かんだ形で美しい

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「若きウェルテルの悩み」

ヨハン=ヴォルフガング=フォン=ゲーテ

ドイツ作家
“ウェルテル効果”
報われない恋に絶望し自殺・自傷に走る行為
発行当時ヨーロッパで若者の自殺を大量に招いた”古典の失恋ソング”
内容は夏目漱石「こころ」にほぼ同じ
国民的文豪はやはり愛を描いてなんぼ
自然描写と文体が美しい

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